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視察報告平成22年2月5日(水)
福祉保健医療常任委員会視察
1.埼玉県立精神保健福祉センター  埼玉県立精神医療センター(ともに伊奈町)・ダルク
2.県立がんセンターの移転新設予定地
3.埼玉県立総合リハビリテーションセンター(上尾市)


1.埼玉県立精神保健福祉センター 埼玉県立精神医療センター(ともに伊奈町)・ダルク
<薬物乱用といわれるが、実態はどうなのか? その防止策は? 自殺防止はどうしたらよいのか?>
◎薬物乱用防止対策について
【沿革】
精神保健福祉センターと精神医療センターは同じ敷地に併設され、前者が病院局、後者が福祉部に属す。
前者は広報、相談(来所、電話、メール)関係職員の研修、精神障害の手帳判定、社会復帰部門としてデイケア、就労準備、アパート生活を想定した生活訓練施設支援を行っている。また、夜間、休日の救急相談を行っている。
・夜間、休日の救急相談 月〜金(17時〜8時半)土、日、祭 8時半〜8時半 048−723−8699
後者は外来(紹介による、予約制、地域クリティカルパスを使って?)、6つの病棟を持つ入院(合併症精神科・依存症精神科・回復期精神科・児童思春期精神科・急性期精神科)入院は3ヶ月以内に退院できるよう早期退院を心がけている。今、回復期精神科(50床)の需要が少ないので、これをやめる。また、医療観察法指定の入院施設を国に命じられて作ることになった(33床)。現在建設中だが、埋蔵文化財調査の段階。平成23年度に開設予定。医療観察法指定入院とは地方裁判所で不起訴、または無罪になった者で、観察が必要とされた人に医療を施す施設。現在埼玉県には相当する人が法が施行されたh17年からの累計で67人いる。全国で449床既にあるが、今後770床にしていく。国は各県1つは作るようにするらしい。
【薬物依存症について】
・県立精神医療センター病院長の杉山さん、NPO法人埼玉ダルク、ディレクターの辻本さんにお話を伺った。
 (1)薬物乱用と依存について
薬物乱用という場合、1回でも使えば法に抵触するので乱用という。依存症とはコントロール障害を指す。つまり、薬物をやめられない、中止すると離脱症状が出る、耐性ができてしまう、明らかに有害な結果なのにやめられない等に当てはまる状態をいう。依存症は多くは覚せい剤、有機溶剤であった。これらは急激な精神病状態を引き起こす。最近はこれに精神安定剤や睡眠剤の乱用がでてきた。(2006年覚せい剤49%、シンナー15,1%、鎮静剤12,4%、鎮咳剤約4%、大麻約3%)なお、大麻やMDMAも薬物だが、それだけで受診する人はいない。1つに手を出す人は複数に手を出す。学生時期のたばこから酒、薬物へと進むもの。病院としては解毒、精神病の治療のみがおこなわれてきた。世間は依存症を病気として認識するより犯罪面のみを気にする傾向だ。薬物依存は、退院してからが大事なのに地域の受け皿も治療システムも確立されていない。ひとりダルクとNAのみが受け皿である。薬物依存症の専門医療機関も全国に10か所しかない。
 (2)精神医療センターでのこと・・・・・
まず、解毒、行動修正プログラムを施し、自助グループ・リハビリ施設へつなぐことをしている。・依存症病棟は男女混合の40床ある。個別に対応し、解毒の後は8週間の集団教育プログラムを施す。アルコールが7割、薬物が3割の現状だ。依存症治療は任意入院が原則。犯罪を起こしてではないので強制入院は難しいという。解毒の後の8週間ではレクリエーションや作業療法、自主グループの活動参加、そして、病棟外のマック、ダルク等の活動にも参加させていく。同時に家族ミーティングなど家族への対応も行う。なお、認知行動療法(CBT)として再飲酒防止プログラム、動機付け面接法に加え、平成20年6月からここで開発した薬物依存症外来治療プログラム(LIFE)も始め、国に認められつつある。週2回(90分)ワークブックを使ったグループミーティング(臨床心理士、看護師、精神保健福祉士、医師)週1回の尿検査と外来診察をおこなうプログラムである。どこでも利用できるプログラムなのだそうだ。
 (3)おさらい
・薬物依存患者は、中毒性精神病なら急性期病棟に入院させ、その後依存症病棟に移って,NAやダルクに入所、または通所する場合と、急性期病棟から依存症外来に行き、そこからNAやダルクの場合がある。依存症のみの場合、依存症外来で診て、そこから入院する。
・平成20年度の依存症外来に来た患者はアルコールが245名、薬物が126名(覚せい剤79、向精神薬28、鎮咳剤7、有機溶剤6、鎮痛剤5、ヘロイン1)であった。
また、急性期病棟入院患者はアルコール24人、薬物34人(覚せい剤31、向精神薬3)
また、依存症病棟入院患者はアルコール158人、薬物59人(覚せい剤37、向精神薬12、鎮咳剤4、有機溶剤4、鎮痛剤1、ヘロイン1)
 (4)依存症患者の特徴とは・・・
@、自己評価が低く自信がないA人を信じられない、本音が言えないB孤独であるC自分を大切にできない人がなる。幼少期からの生育環境、親との関係に安心感が持てなかったことによる場合が多い。また、依存症患者は対人関係がうまく持てない人が多く、そのストレスを酔うことで回避し、コントロールできなくなった人。自分を受け入れてくれる場所を持っていない。リハビリ施設や自助グループで受け止めてもらえたと感じられた時、回復は始まるらしい。人を信じることができ、本音で話せ、自分を大切にできるようになり、酔う必要がなくなっていく。世間は「薬物依存は病気である」と悟らなければいけない。だから治療が必要。しかし、そのシステムは無きにひとしく、ダルクの孤軍奮闘が続いている。
 (5)ダルクについて
ダルク(Drug Addiction Rehabilitation Center)は薬物依存から回復した人が、スタッフになって「仲間」が助け合いながら回復をめざすグループ。NAの12ステップが提案する方法で支援する。全国50か所あり、県内には2004年7月にデイケア施設(常勤2、スタッフ研修1、非常勤3)が、2006年4月に宿泊施設(ボランティアスタッフ3)ができた。当事者同士が矯正し合うことで、自分の姿を他人に見て、回復していく。平均1〜2年で退寮するという。デイケア施設のほうはさいたま市から地域活動支援センターとして認められ、補助してもらえた。しかし、お金は足りず、スタッフは全くのボランティアである。本人だけでなく家族支援、刑務所の受刑者への働きかけ(もし気持ちがあるなら出所後にダルクに来てください)なども行っている。詳しくは 埼玉ダルク http://saitama-darc.com/ 048−823−3460(FAX3461)

◎自殺防止対策の取り組みについて
県立精神保健福祉センター副所長の関口さんにお話を伺った。
【実態】
埼玉県は平成21年は1796人(昨年比+143人)が自殺。毎日5人の換算らしい。平成10年以降高止まりになっている。自殺者の数でいうと全国で4番目(東京、大阪、神奈川に次いで)に多いが、人口当たりの割合でいくと28位(23,3)。7割が男性。地方や従来は高齢者の自殺が割合として多かった。が、このところ30代〜50代の自殺者は全体の半数以上を占め、20年は52,0%だった。60歳代以上は34,3%。原因別では健康問題(53,4%)、次に経済・生活(21,3%)家庭(9,4%)の順。健康問題といってもその3/4は精神病とのこと。
・国が自殺対策基本法(h18年10月施行)、県はそれを受け、平成20年『埼玉県自殺対策推進ガイドライン』を平成20年9月に作った。
・自殺には必ずサインがあるから、それを見逃さないことが大切である。そして、前述したように3/4が精神障害を持ち、その半数がうつ病であることから、うつ病対策が大切となる。うつ病は「心の不調」だけでなく、だるさ、不眠、食欲低下、頭痛など「体の不調」もみられる。うつ病は日本人の6,5%がかかる。男女別では女性の8,3%、男性の4,2%であるらしい。うつ病を治すには「休養」と「薬物療法」が基本。
・精神保健福祉センターでは、@、来初、電話、電子メールによる相談事業 A、家族教室の開催 等にあたっている。
・また家族のだれかが自殺してしまった場合、遺族の苦しみは想像を絶するものとなる。自死遺族会・分かちあいの会「あんだんて」の活動支援なども大切である。
・「知は力なり」というが、気付くこと、対処できることが大切である。そのためには窓口となる人(市町村、保健所など)の研修が重要。養護教諭、消費生活相談員、介護支援専門員対象に研修も行ってきた。
【相談】
埼玉いのちの電話048−645−4343
埼玉県こころの電話048−723−1447
さいたま市の方は 048−851−5771
埼玉県立精神保健福祉センター
(来初相談)
予約048−723−6811
さいたま市こころの健康センター 予約048−851−5665
メール相談:http://www.pref.saitama.lg.jp/A03/BE02/shoukai/utsu-soudan.htm

【感想】
薬物依存は自分に自信のない人、見捨てられる不安のある人がなる。親に無条件で受け入れられている、と思っていない人が多い。これは、非行少年少女と同じである。アルコール、タバコから移行していくらしいが、これも非行グループの道である。再犯率は50%以上というが、再使用率は98%ではないか、と辻本さんは言っておられた。依存症の人も、病院に相談したら通報されるから、と相談を控えることが多いという。病院としては自ら来た人は患者として受け入れるのみ。通報はしない。法的に通報の義務はないのだという。ノリピー問題以降、逮捕者が増えているらしいが、それは警察の姿勢に起因するものだろう。監獄法が改正され、刑務所内でも学習することが義務化された。が、なんといっても出てきた後、地域の受け皿こそが重要なのだし、それが足りないのだ。ダルクの施設も地域に作るとなると、当然反対される。また、福祉の(精神)障害者の補助などを利用して施設運営を強くしようとしても、実際に(依存症の人が入寮しようと)来るときは突然で、しかも緊急な場合が多く、行政の手続きを待つ余裕などない。難しいことである。ダルクへの支援は喫緊だと感じた。本県は補助72万円、東京都は3000万円とのこと。
うつをもう少し広くとらえるようにしていきたいと言う。また、「薬がやっぱり良いのか?」の問いに対し従来からのいわゆるうつ病には抗うつ薬がやはり効くのだ、とのことだった。また、広い意味でのうつ状態ならほかの方法がよい場面もある、とのこと。どちらも家族の支援がまた、大切であるらしい。自殺防止については、委員会視察で静岡も訪問した。女子高校生のキャラクターを使って、お父さんに言うように、相談しやすいように、家族に思いを馳せるように、気軽に相談してくれるよう啓発をしていた。電車に乗っても人身事故、を聞くことが頻繁すぎる。悩んでいるそのサインを見逃さず、多くの人が対処してあげられるようにしなければならない。

2.県立がんセンターの移転新設予定地
当初は今のがんセンターの横、精神医療センターとの間に造る予定だったが、その向こうに、新たな土地が取得できたので、そちらに。森の中の施設になる。合わせてベッド数も増える。今回は、精神医療センターの屋上から予定地を望んだ。
 がんセンター新設予定地 林の奥に作る予定。

3.埼玉県立総合リハビリテーションセンター(上尾市)
○ポイント:高次脳機能障害にどう対応すべきか。
【沿革】
ここは外来と入院140床を持つ、リハビリ専門の県立施設である。外来も全て紹介制である。高次脳機能障害を持つ患者は県内に15000人いると言われる。構成はリハビリテーション病院、障害者社会復帰・訓練支援センター、健康増進施設、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所からなり、総合的なリハビリテーションサービスを提供している。また、病院には回復期リハビリテーション病棟がある。人工関節置換術や脊椎脊髄外科等の整形外科手術及びスポーツ医科学診療も行っている。
 利用者の主な疾患名:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脊髄・頸髄損傷、パーキンソン病、ALS、神経難病、股関節・膝関節、スポーツ外傷・障害とのこと。
【感想】
残念ながら高次脳機能障害に対しての質疑があまりされずに終わってしまった。ただし、次年度予算で全国2番目の支援を行い予定らしい。可決されればの話だが。ふつう脳梗塞、脳出血、脳卒中などで救急に運ばれたら、その後は、リハビリ段階になって地元の病院に移動して、リハビリをするわけである。今回総合リハビリテーションセンターに「スペクト」と「光トポグラフィ」という専門機器を導入し、脳内の血流を調べ、血流のあるところの機能を集中して伸ばすリハビリができるようにするつもりだ。また、家族支援を充実させるため、相談・診断・治療・訓練をワンストップで行う高次脳機能障害者総合支援センター(仮称)を設けるらしい。

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