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視察報告平成21年7月15日(月)〜3日(水)
埼玉学園、武蔵野学院  を個人的に視察しました

個人的に視察してきました。
個人として中央児童相談所、埼玉学園、そして今回の武蔵野学院です。
中学校の教師だった頃のイメージとは隔絶していました。
もっとツッパリ君卒業生がうようよしていて、
殺気立っていることを覚悟してたずねたのですが、
まったくそうではなく、埼玉学園などは特に壊れやすい目をした素直な子どもたちが
たくさんいる、人に危害というより自暴自棄で自傷的な感じの
子どもなのではないか、と、敢えて考えようとすれば、そういう感じにしかならない気がしました。もちろん、学園、学院の指導者の小舎夫婦制によってはぐくまれるやり取りの賜物なんでしょう。
さて、それでも地域の中学校に行けば、やりたい放題の大人不信で育ってきた、大人のいうことを聞かない、我慢のできない子どもがいて、今も学校は荒れています。が、
社会全体からすると、もう壁になる大人の存在がなくなって久しく
ツッパリ君になる必要も無く、《突っ張ろうにも押す相手がいない》
見た目は少年刑務所に行かない年齢では最高峰?の埼玉学園や武蔵野学院でも
そういう外見的部分がなくなっているのでしょうか?
しかし、外見は昔と変わっても、心の中を探れば親子の関係で傷つき、人間不信になって、そこに何らかの障害が加わる場合も多く、そうやってここに来ているのでしょう。
3つの、施設を訪ねて様々なことを考えさせられました。

国立武蔵野学院 (児童自立支援施設) 

〇児童福祉法第44条に規定する不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他環境上の理由により生活指導等を要する児童であって、特に専門的な指導を要するものを入所させ、その自立支援をつかさどり併せて全国の児童自立支援施設の向上に寄与するために作られた施設。
国には男子版の武蔵野学院と女子版のきぬ川学院がある。各県にはやはり1つ施設があって、埼玉県なら埼玉学園がある。埼玉学園に入るより困難なケースをしょっている子が国の施設に入る。なお、児童自立支援施設とはむかしの教護院のことだ。福祉施設であり、少年院とはちがう。児童自立支援施設には14歳未満の子ども、14歳以上なら少年院というわけではなく、武蔵野学院にも埼玉学園にも14歳以上の子がいるし、少年院も今は12歳以上で入れるようになっている。
ここ武蔵野学院には児童自立支援専門員養成所が併設され、児童自立支援専門員を1年制で養成している。定員は25人。また、全国の職員の研修なども担当している。
〇生活…子どもたちは児童相談所または家庭裁判所の審判を経て入所してくる。寮生活を4人一組で行っている。夫婦が寮に一緒に住み、子どもたちの親代わりになり面倒を見る。小舎夫婦制。武蔵野学院では普通寮が5寮、親が家にいないなどで退所できる時期に来ていても帰れない子どもがいる自活寮が1寮、観察寮3寮、交替寮1寮がある。交替寮とは寮長、寮母が、寮を外出したりするときに子どもたちが代わりに宿泊する寮。観察寮は家庭裁判所の審判で強制的に措置されて入る寮。入所時に家庭裁判所が何日は観察寮に入って改善するのが望ましいと審判してくるので、それに基づいて入る。1人部屋で考えさせる。話をしたり、外に出て作業させたりしながら少しづつ気持ちの整理などをさせ、普通寮にいく準備をさせるところ。ここには医師、心理療法士、看護師がいる。これが埼玉学園とは違う。一般には2週間観察寮にいてそれから普通寮に行く。151日から180日の観察を要した子どもは全体の47%。91日〜120日は23%、60日までが10%の割合だった。7時起床、清掃、朝食を寮でとり、8時半〜昼飯まで学校で授業。午後は作業、クラブ活動など。作業は農業ほか、部活動も野球、卓球、水泳、テニスなどある。私が行ったときはたぶん寮ごとに? 水泳大会の準備、竹藪の伐採、掃除などをしていた。15時20分レクリエーション、17時清掃、夕食、18時入浴(3人一緒、又は、一人ずつ)、自習、余暇21時就寝準備、22時消灯が日課である。平均在籍1年6ヶ月で退院していく。
〇現在34名の子どもが在籍している。(中一2名、中二9名、中三13名、中卒10名)普通はあと10名くらい多い。関東地区から来る子どもが全体の4割。それはネットワークがあるから。入所時年齢は12歳13%、13歳30%、14歳40%、15歳13%、18歳4%。最初に非行に走る年齢は6〜7歳10%、8〜9歳30%、10〜11歳23%、12〜13歳33%、14〜15歳4%だそうだ。平成20年度は入所児童30名、退所児童32名だった。保護者の状況は実父、実母がそろっている家庭は27%。7〜8割の子どもが虐待経験。このごろは入所児童の4割くらいが発達障害や精神疾患を持っているらしい。平成20年度でいえば、88%の子どもが立派に巣立っていった。
〇その他、埼玉学園、武蔵野学院で感じたこと
埼玉学園で想像と違って子どもたちが純粋な目をしていたこと。ツッパリの険しさはまったくなく、むしろこのごろは精神的疾患や障害などを持った子も多いということ、などを知って、ならば、その上を行く全国で2つしかない国の施設ならばどうなんだろうか? という気持ちで訪れた。こちらは男子だけであり、坊主頭にしていることもあり、埼玉学園よりは昔は突っ張っていただろう感じのする子どももいた。しかし、来訪者や指導員に「こんにちはー」とこっちを向いて挨拶する姿勢は、純朴な男の子のそれだった。学校では午前中に授業を終わらせ、午後は体を動かす。農作業その他、汗をかいて自然に触れることは大切なのだろう。年間行事もたくさん取り入れ、例えば釣り大会、ソフトボール大会、テニス大会、卓球大会、デイキャンプ、アートワークショップ、氷水会、田植え、芸術発表会、納涼会、水泳大会、写生会、バーベキュー、バドミントン大会,文化祭、マラソン大会、スキー旅行、サッカー教室、駅伝大会、将棋・オセロ大会、餅つき、漢字能力検定、中間、期末テストと起伏ある生活にしている。学校の授業は学力で2学年くらいは遅れている傾向らしい。中一,二複式クラスと中三1クラス、そして中卒クラスがある。学力によりA〜Cと新入生のDグループにグループ分けし、授業はT・Tできめ細かい。近所の中学校の分教室として存在し、7名の教師が派遣されていた。職員室は3列の机があり、教師、指導員、寮長・寮母が一堂に会す。一時間目の授業までは寮長・寮母が教室のアシスタントティーチャーになり、また、休み時間も廊下に来て雑談その他気持ちを通わす。2時間目以降のアシスタントティーチャーは指導員の方。派遣された先生は全員がこの4月から勤務しているそうだ。引継ぎその他は考えないのか、不思議だったがとにかく一遍に赴任し一遍に帰る総入れ替え制のようだ。「地元の学校のほうが子どもが険があって厳しいじゃないですか。ここの学校の何が活かせる、功を奏しているのだと感じますか?」と質問すると、・刺激の遮断の大切さ・朝、昼、晩とみんなであったかく食事をすることの重要性・衣、食、住の基本がなっていて、家族の中に子どもがいると実感できる所属感を抱けることの大切さが指摘された。親や大人に存在を認められ、大切にされているという実感を持て、ご飯をともにし、悪い刺激や誘惑がないような世界で生活できれば、どんな子どもも立ち直れる、というのだ。指導員の方々の献身の賜物、とも先生はおっしゃっていた。また、1学年が3クラスくらい授業をするうちに、授業を練っていくことができるが、一回こっきりで勝負なのは難点とのお話もあった。
さて、夫婦で家族もろとも寮に入り、自分の子どももそこで育て、生活全体を子どもたちに賭けても良い、と考える人がいることを自分は埼玉学園でも、武蔵野学院でも自分は不思議でならなかった。そういう仕事についている人がナイチンゲールのような存在に思えてくるし、自分を勘定に入れず、派手さもなく刺激も求めず、後光がさすような感じで見えてしまう。一体なぜそういう仕事をやろうとしたのか?! 卒業生が尋ねてきて、そこで報われるみたいなことはあるものだと思う。しかし、その仕事を志すにはそれなりの理由があるだろう。報われるのは、実際に指導員になってからの話であり、普通だったらそういう仕事の存在も何も知らないまま、例えば子どもが好きだからという理由だったら保母さんとか教員になる、位しか考えは及ばないと思うのだ・・・。寮母さんは毎日が喜びと大変さとシーソーのようだとおっしゃっていた。養成所では実習があって、それで子どもの成長がわかるということもこたえられていた。また、埼玉学園の寮長さんは自分も一時期道を外れかけたことがあったが、支えてくれる親の存在があった。だから困難な状況の子どもたちを支えたい、とのお話があった。
子どもたちは地元の学校で見られる子どもたちよりも、目が穏やかだった。刺激を遮断し、大切に思い、子どもが字損感情をもてて育っていければ、みんな純粋に持っているものを発現し、育っていくのか!!指導員さんは言う。昔は手を上げることもあった。が、今はそれもできないし、リスクを考え、その中で最善を選択し、じっくりあきらめずに指導を行うのみ、と。休み時間には子どもたちが来て寮長さんたちのひざに乗ってきたりもすることがあるという。育ちなおしの作業でもある。
 しかし、そんな子どもたちも外の世界に出ると刺激や誘惑で3割が再犯してしまう傾向らしい。
 ここに来る子どもたちはとにかく育てられ方の中で母子愛着などの育ちがなく、大人不信と自尊心の欠如から対人関係をうまくすることができない子なのだ、という。確かに対人関係をうまくこなせれば、犯罪に走ることもないだろう。そう考えると、ここに来てしまった子どもも、その前段階の子どもも、いや、普通の子どもも全て困難や人間の中でどうこなせるか、にかかっているのだと思った。
今の子どもの傾向は、と院長さんにうかがった。やはり昔は徒党を組んで遊んだけれどそれが今はないからか、対人関係のもまれが足りないのではないか。
脱走する子どもも昔のほうが多かったそうだ。また、今は脱走しても直ぐ発見される。昔は潜伏してなかなか見つからなかった。生きるパワーのようなものが、大人も含めて少なくなっているのではないか、といわれていた。温室育ちとかペット化というが、そういう環境の快適化が人間を弱くしているのだろうと、普段から思っていることとして自分も思った。
中央児童相談所、埼玉学園、武蔵野学院の視察を通じて、人間はあきらめないで条件を整えて、大切にしてやればみんな育つのだ、と思い知らされた。一般の学校の先生方もここに来てショックを受けて、希望を再確認すればよいのに、と思いもしたが、外からの刺激はここの子どもたちの育ちに対してはマイナスなので、また、思い直した。
きぬ川学院の院長さんがホームページを持たれていた。それを読んでも、考えさせられることが多いのでここにアドレスを掲載する。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/k-okaya/
子どもたちの将来に希望あれ!!
        
            武蔵野学院院長 高橋福祉保健医療委員会副委員長 高橋さん    藤本正人

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