
平成21年2月9日(月)・10日(火)
県土都市整備委員会視察
□1.
自然エネルギーによるロードヒーティング(於 郡山国道事務所)
□2.
ユーカリが丘のまちづくり(山万株式会社) 佐倉市ユーカリが丘
1.自然エネルギーによるロードヒーティング(於 郡山国道事務所)
ポイント:普通の電気を使うよりコストはどうなのか?
○風力発電によるロードヒーティング
・国道49号線猪苗代湖の付近では、トンネルの出入り口に雪が吹き付けるとそのまま凍結して事故が多かったらしい。そこで、平成11年3月に風力発電による道路融雪を完成させた。総事業費は1基8500万円。その後の事故はない。風力発電の風車は高さ32m(羽まで入れて45m)風速3m/秒あれば風車は回る。250kwh発電され個人住宅なら300世帯くらい賄えるという。ただし平均すると42,3万kwhで約140戸の電力量に相当する。環境としては年間300tのCO2削減したことになるらしい。自動車120台の年間排出量の分と同じ。
8500万円でペイされているのか、元が取れるのかと質問したところ、20年も使えば十分もととれると回答あり。但し、平成20年度は結構故障したらしい。
維持管理は簡単なものは国道事務所の職員でできるらしい。
・この風車のあるところは湖に吹き渡る風が山に沿って集まるところであり、風力発電に適した場所。路面地表から道路切削しても引っかからない深さで電熱線を2層で埋め込んでいる。延長のべ350m。摂氏2度になると稼働するようセンサーを設定している。冬以外はトンネル内のジェットファンや照明に利用し、さらに余れば売電しているとか。同様の施策は青森の竜飛崎のほうでもやっているらしい。
・ また、湖水の温度を利用したロードヒーティングと地熱を利用したそれも行っている。
中山トンネルのロードヒーティング(風力発電による)
○湖水熱利用によるロードヒーティング
・ 猪苗代湖の湖水は底から5m位のところの水温が常に3〜6度で安定している。そこにコイル状に巻いたポリエチレン管を沈め不凍液を満たす。その熱がヒートポンプに伝わって気化した冷媒を圧縮させることで高温になり、路面側に通じるもう一つの循環する管の中の不凍液を温め、それが循環して一時、蓄熱タンクにためられる。路面温度低下により路面の深さ約9cmに埋設された放熱管に温められた不凍液を循環させることで路面の雪を溶かす仕組み。ヒートポンプは2つの系統の間を取り持ち、それぞれの循環はポンプが行う。電力で融雪するよりコストを3分の1に抑えられる。節約コストは電力でいうと55,8万kwで約180戸分だとか。CO2に換算すると年間111,6tの削減にあるという。
(1年間1戸あたり3000kmhと仮定したとき)
○地中熱利用ロードヒーティング (49号会津若松市一箕町付近と猪苗代町野口英世記念館前付近)
・ ここは歩道の融雪を地中熱を利用して行う。よく町で見かける融雪施設は地下水をかけて融雪しているが、あれでは地盤沈下が進んでしまう。地下100mくらいの穴を掘り、地下の熱をやはりポリエチレン管の不凍液を循環させることで路面を暖める。ただ、一般的に1mボーリングすると1万円かかるといわれるので、トンネル内などではコストを削減するため地中熱を縦穴だけでなく横から取ることも行っているとか。
・ 地中熱利用による融雪は維持管理費は1m2あたり200〜400円。こちらは5度を下回ると稼働するよう設定してある。維持管理費は地中熱利用が最も安い。甲子トンネルは流水熱を利用しているとか。
・ 全体として何年で元が取れるのか、は正確にはわからなかったので確かめられなかった。
2.ユーカリが丘のまちづくり(山万株式会社) 佐倉市ユーカリが丘
ポイント:まちづくりの理想型とは?
○ 山万株式会社は昭和46年、千葉県佐倉市にユーカリが丘の開発を始めた。成田空港と東京に挟まれ、近くには徒歩30分で印旛沼を控えるという立地に着目したものだった。開発は今も続いているが、開発したら終わりというのではなく、持続可能な、つまりゆりかごから墓場まで、のまちづくりを目指してさまざまなことを行っている。街は成長するのだ。だから、開発して町と住民が共に高齢化して、それで終わりという単線系でなく「循環」を意識している。一つには新交通システム「新ユーカリが丘線」、一つには独自の防犯システム、一つには子育て支援、認可、無認可保育園運営、一つには福祉の街設置、一つには市民農園、一つには駅周辺の高度化などである。実は今後セレモニーホールやお墓も考えていかなければいけないとか。一つの民間会社がまるで行政の視点を持って、短期収益主義から距離を置いた「住民が求める街とは・・・」の発想法によってまちづくりをしている姿にわれわれ議員一同は度肝を抜かれた感があった。「これはわれわれ議員よりも行政の長が聴きに来るべき話だ!」「ユーカリが丘で一つの市を作ったらどうなの?」と所々に議員の思いが凝縮する言葉が漏れた。自分も「これは山万城下町だ。昔はこういう藩があって、よいお殿様による善政が敷かれていた所もあったに違いない。」と思った。
以下は、羅列する。
ユーカリが丘の街の模型を眺め入る議員諸氏
・ 山万株式会社は、成長より安定を! をコンセプトに上場せず、地道に経営を行う方針。役員を除くと社員数120人。一気に開発、拡大をせず、テナント収入なども積極活用し、売り上げも常に安定させている。長年の経験から年間200所帯は売買があるとの実績をもつことから、ならば30年後には年間200世帯のリフォームが必要になると想定。6:4の法則を掲げ、一戸建てと集合住宅の世帯数を6:4に定め、開発を行ってきた。ライフステージによって集合住宅→リフォームされた一戸建て住宅(1000万円ほど安い)→または一戸建て新築→集合住宅→または、福祉施設の循環を考えて開発している。一戸建て住宅は他の不動産屋に売却させず、100%の査定(2000〜2500万円)で山万が買い取る。それをリフォームし価値を高め、新築より安く売る。戸建ての場合最低50坪はある地区計画された街はこのようにして守られている。初めのうちは、戸建てが分割売却されそうになったが、買い戻して支えたという。新陳代謝はこのようにして成った。
・ 京成ユーカリが丘駅近辺は、都市機能を集めて、高度化し、都心回帰に対抗している。映画館、ホテル、スポーツジム、スーパー銭湯、大規模小売店舗など150の店舗テナントも扱う。昔、京成でパチンコ屋がないのはユーカリが丘駅だけだった。そこで外観を目立たなくしてパチンコ屋も誘致した。佐倉市の人口は17万5000人。うちユーカリが丘で16000人。半径5km圏内を第一次商圏50万人として想定している。
・ 京成ユーカリが丘駅から山万が新交通システムを運営している。モノレールのようなゴムタイヤの新ユーカリが丘線だ。線路は高架でその下に店舗を貼り付け、テナント収入と運賃で経営している。社員30人で運行させており、運輸省認可による全国初の中量輸送システムだ。高架敷設の工費も1kmあたり100億円といわれるが、10億円未満でまちづくりと一緒に仕上げた。未だ赤字であるが、街をもう少し大きくすることで黒字に転換するつもり。区画整理はまだ2箇所残っている。京成駅からテニスのラケットのような形で新交通システムが伸びており、京成駅はラケットの柄の先端の部分、柄がそのまま伸びて付け根に1駅、円の部分で3駅を配置し、線は13分で一周している。ガットの網の部分は、地主が住んでいて調整地域で緑が残され、森と田んぼ、それに調節池を公園化した場所もある。街のどこからも10分以内で駅に行けるようなっているが、高齢化に伴い、さらに電気バスを早稲田大学などと共同で開発、運行する予定。駅までバスで送るのだという。また、都市計画道路が街の周囲を通る予定。
・ ディベロッパーとしての山万は地域に働く場所を作り、関連企業の社員だけで1000人を誇る。在住市内勤務者は2000人、今後は団塊世代の雇用がテーマ。さて、この町で雇用し、生産し、収益を税として自治体に還元する。住人はそこで消費し貢献する。今の市内購買率は47%、これを上げたいとのこと。三位一体の循環型地域経済システムを一民間企業が考えているところがすごい。昭和46年開発当時も社員の90%をユーカリが丘に住まわせ、社員はPTAの役員他、自治会の役員などにもなってまちづくりに関わる。毎年住民の声を聞くアンケートを実施し、声を正確に把握する。また、「わがまち」というコミュニティー誌を発行し、社員が一軒一軒訪ねてそれを配る。そこでまた住民ニーズが把握できる。ホームページの開設や情報ボックスの設置、CATV回線を利用した高度情報都市を目指す。
「わがまち」の戸別配布は議員活動にも通じるもので、やはりこれが基本なんだな、と痛く感じた。さらにおどろくべきは、社員が市議会の傍聴を欠かさずしているということである。それをすれば市の課題が一目瞭然だからだ。すでにユーカリが丘に住む県議1人、市議3人。
・ ユーカリが丘線の中の調整区域はその周りの土地を売った地主の土地なので、開発してほしいという要望は出ない。街を開発するとき同時に圃場整備も行ったとか。調節池も普段は十分利用できる。ということでビオトープにもなる公園が作られている。
・ 市行政の問題は、そこに課題があるのにすぐには動かないこと。特定福祉施設の枠もなかなかくれない。だから、子育て支援センターも認可保育所も独自のものを作った。無認可保育所も同じ。福祉の街と称する特別養護老人ホームを始めとする施設群も整備された。学童保育を併設したグループホームもあるし、知的障害者通所更生施設、入所施設、地域生活支援センターもある。山万の関連会社でやってしまう場合も、誘致したり委託する場合もあるという。
・ 地域の安全を守るため、24時間365日の巡回警備も会社を作ってしまった。交番が1つ、それにパトロールデンターが2つ地域内にある。さらにNPO法人による住民自らの見守り隊もできた。
山万ユーカリが丘線
<感想>
感想といっても何とも圧倒させられるのみであった。一般的に住民にはこういう頼りになる存在はいない。そこで自治体や行政が出てくるわけだ。が、その存在は面倒くさい存在でもある。もったいつけるし、面倒を強いるし、公平性を要求して、結局何もできない場合も多い。もし、山万のような存在があった場合、住民はどうまちづくりに関与していくのだろうか? それを今度は住民に聞いて、知ってみたい。われわれ議員ももっと住民の声をこまめに把握し、それに沿って尽力すべきなんだろう。まちづくりを複雑に考えすぎないで、もっと単純化して正対すべきなんだと思った。住民自身もそれなりの出費を覚悟して、街を作っていく覚悟が求められるのかもしれない。
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