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視察報告平成17年6月8日(水)〜10日(金)
医療保健福祉常任委員会視察


□1 福岡県立精神医療センター太宰府病院
□2 福岡県立筑後いずみ園
□3 大分県玖珠町保健センター
□4 特別養護老人ホーム「心助園」


1.福岡県立精神医療センター太宰府病院
−県立病院と指定管理者制度について−


<沿革と概要>
精神医療というよりも病院改革の視点からの視察になった。福岡県はいくつかの県立病院をかかえどれもが経営が悪かった。そこで改革を始めた。まず、平成14年度までに1つの病院を廃止し、ベッド数を減少。病院機能を特化し、さらにベッド数を減少(1290床→1070床)させた。しかし、債務はなくならずついに抜本改革に踏み切った。

 1.4病院の公的役目はない、として民間に委譲。
 2.精神医療センター太宰府病院は必置義務もあるから公設民営にすべし。

1については(消化器医療センター朝倉病院、柳川病院はh17春に、嘉穂病院、遠賀病院はその後に民間委譲)2については指定管理者としてプロポーザル方式で募集して、基本財産2億円の財団法人医療・介護・教育研究財団(九州電力、西部ガス、九電工、キューコーリース)に決定。この財団は地域医療への褒賞、医療介護ネットワークシステムの研究、研究テーマ発表などの事業をする目的で設立されたとのこと。

病院の収入は全部県が受ける。管理経費は委託料でやる。ということで、問題は今まで公務員だった医師、看護師の処遇であった。

○まず、公務員として他に異動希望するか、いったん退職してここに再就職するか、別の病院に異動するか希望を聞く。(割り増しの退職勧奨金を設定)
○看護士については、
・県から一度やめて、再就職した人68人
・県からの派遣の道を選んだ人29人
・新規採用看護士68人
(民間委譲された2病院に移動した看護士も多かった)
○給与は平均76%にダウンした。経営改善に応じて一定額が還元されるシステム(メリットシステム)を採用した。
○日本の精神医療は診療報酬がアメリカに比べて少ない。不採算部門でもある。さらに、公立のそれは民間で手に負えない(採算あわない、暴力的など)患者が来る。採算性を考えた場合その辺にもメスを入れることも今後考えねばならない、と答弁があった。
○埼玉県の病院事業が改善されているのはベッドの回転率を上げていることだが、精神科の場合、それも適用しづらい面がある。不採算の精神科なのに民間でなんとか維持できているのは入院期間が長いから。それにも問題がある。


福岡県立筑後いずみ園
−情緒障害児短期治療施設−


<沿革と概要>
昭和26年 虚弱児施設として創設された。その後、名称を変えながら平成10年「児童養護施設」になる。平成13年には今の「情緒障害児短期治療施設」になった。

○情緒障害児短期治療施設は全国でもまだ26カ所しかない。平成12年11月「児童虐待防止法」施行により、行政の責務が明確にされたことにより、公で各県最低1つは作るようにされた。
○近年児童養護施設には被虐待児が増え、重度の子どもは病院に行くが、治療が必要な子ども、扱いが困難な子どもがふえていて今までの児童養護施設では適切な対処ができない、ということで「情緒障害児短期治療施設」のニーズは大きい。というのも、情短施設だと 生活指導員?が5人に1人、それに医者、心理療法士、看護士が配置されるが、児童養護施設だと15人に1人、それに嘱託医程度となること。部屋の構造も自ずと違ってくること、が挙げられた。
○いずみ園では、心理療法・学校教育・生活指導を3本柱にし、週1回は必ず1対1で子どもと取り出しで遊び、小中学生は園内にある分校、本校にある情緒学級、または通常学級に通い、生活している。
○「短期」といっても2年くらいはいる。そう簡単に完治するものではない。芯の部分まですぐに治るわけではないから。

<感想>
・埼玉県にも児童養護施設は県立3,さいたま市立1,私立15の計19施設1402人の定員があるが、情短施設はない。それの必要性は高いのだろう。
 さて、以下は知人から聞いた話である。
愛情も学ぶものだと知人が言った。経験しないと身に付かない。縫い物をするときもふつうなら自分の力で(人の手を借りずに)やりたいとおもうものだ。が、そういう達成心より、自分のために手伝ってやってくれる先生を好む傾向があるという。精神年齢も低く、純粋であるが残酷なこともできてしまう部分もあるという。LDの子は「欲しい」と思うと盗ってしまう部分もあるとか。「児童養護施設も民間なら宗教が関わっていた方がいい」と言った。ある子どもの担当は年に5人も替わったという。宗教の人なら信念で働くから。そう、知人は言った。
・虐待は本当に増えているのだろうか? 私にはそれがずっと引っかかっている。今回も施設の方にその質問をした。が、確かには答えてはもらえなかった。「数」でいうともちろん増えている。みんなが気にし,報告もするようになった。「虐待」という言葉が法的にも注目され、市民権を得、認識もされやすくなった。が、「虐待」という行為が増えているのか? 核家族とコミュニティーの希薄化でそうなっているのか? 核家族なら昭和40年代からそうだろう。今の団塊の世代からそうだったはずだ、が、その世代にはコミュニティーがあったのか? 今の30代より若い人々に虐待が多いなら、その原因は何か? 団塊第2世代で「孤」と「個人主義」が倍加したのか。町作りが安定して、近所に同年齢の人がいなくて少数派になって仲間を見つけられないのか? 文明の発達が行き着くところまで来て、便利な状態もここに極まった。スイッチ一つで何でもやれ、周りを見れば子育ても保育園がやってくれている(人もいる)。孤立した生活に加え、忍耐力が人間全体になくなり、育てることにも耐えきれなくなったのか。
埼玉県は虐待対応のためには、今後未熟児にはこちらから相談に行くそうである。しかし、私には犯罪機械論ににて、むやみな情報をたれ流さないことも有効のような気がする。虐待があふれているような錯覚を起こさせて、因子のある人を誘引するような結果とならないように注意すべきだと思うのだ。


大分県玖珠町保健センター
−健康推進の取り組み−

○玖珠町は童話の里として、人口1900人、面積286平方キロメートル、大分県北西部に位置している。

○玖珠町には健康づくり推進協議会という連合活動体がある。これが玖珠町の「健康21計画」の策定に活躍した。運動、喫煙、飲酒、歯科、栄養食生活など9つの分野にそれぞれ目標を定め、それぞれの目標達成のために活動している。その連合体には民生児童委員や老人クラブ、母子保健推進協議会、食生活改善推進協議会、婦人会、社協、商工会,JA、医師会、歯科医師会などもあるが、中でも目立つのは地区ごとの○○地区健康づくり推進協議会である。地区から保健委員さんが選ばれ(2年任期)その人たちが健康診断受診呼びかけ、健康や水環境についての学習会、廃油回収、転倒予防教室、ウォーキング大会、実態調査の実施、機関誌の発行や寸劇発表による啓発活動なども行っている。町に保健委員さんは311人いる。所沢でいえば環境推進委員さんの健康特化版ということになろう。保健委員さんの活動はめざましく、健康診断呼びかけでは、平成2年度の受診率が47,0%だったのを平成16年度には92,6%と高め、それにより、国民健康保険の一般、退職者医療費、そして老人医療費すべてに大分県の平均を遙かに下回るという結果が出ている。健康診断受診率とは40歳以上の基本健康診断にガン検診を加えたものをこの玖珠町では指す。受けるべき人は社会保険適応でない40歳以上の人々。その92,6%が受診しているというから驚きである。ちなみに埼玉県のそれは53%である。私は、それは医療機関が少ないからではないか?と思って質問したがそうではないらしい。健診受診率が高い町村は概して医療費も低いらしい。岩手県沢内村然り。入院に至る前に対処するから、ということか。

<感想>
・議員からの質問では、やはり保健委員さんの活躍と玖珠町のコミュニティーの強さに関するものが多かった。私も立ち話で聞いたが、選挙の投票率も高いそうだ。誰が(投票所に)まだ来ていないかチェックできるという。個人主義の自由気ままが都会に比べ制限されるが、その分、こういうところでもすばらしい結果を招いている。何か「やってください」と頼んだとき「いいよ」と答えてくれるのは60代、70代の人。団塊の世代がリタイアしたときは同じように協力してもらえるかは不安、と職員さんの弁。
「個人主義」「個の尊重」を掲げて進めてきた戦後の政策。教育界では今も「より自由で自立した自律ある個人」を育てるべく努力している。が、玖珠町にみられる模範的健康づくり活動でも福祉でも防犯活動でも・・・現象面で対処が求められている数々の政治課題はみな、コミュニティーの再生が鍵になり、コミュニティーを何とか再生すべく策を弄している場合が多い。
自分で壊して、今でもその方針を進めていながら、一方ではその反対の方角を求めているのが今の日本である。そう思うと、何とも変な気がしてしまった。
・そんなことを考えていて連想した。今、文部科学省の審議会でも「朝飯をきちんと食べる」ことが議題として取り上げられているという。100ます計算の陰山校長先生の指摘に日の目を見た、のかもしれない。しかし、こんなことは昔から各学校の先生が保護者会などで言ってきたことだ。だから、中学の土曜日の午後の部活動の弁当も、「できる限り弁当を作ってやってください。」「コンビニに買いに行くことは許可しません。」など実際面で行ってきた。しかし、これとて、家庭にはいろいろあるし、そこまで口をつっこんでいいものか? という周囲からの批判を感じることが無くもなかった。それを感じながら指導していた、という感じか。
 だから、国が家庭のそういう一現象を捉えてとやかく言う(言ってくれる)ようになったことに、半分うれしくもありながら、しかし、とまどいも禁じ得ない。
「朝飯を食べてくる」というのはしっかり安定した愛情を感じられる家庭が作り出す一現象なのだと思う。しっかりした親がいて子どもを愛し、生活が安定しているならば、子どもはすくすく育つものだ。そういう家庭ならば、きっと朝飯は作ってくれるし、部活の時の弁当も作ってくれるし、小学生時代は比較的早寝早起きをしつけてくれるだろう。挨拶もしつけられるだろうし、だから、目上の人からもかわいがられるだろうし、子どもは自分を大切に思ってくれる存在を確信しているから希望を持って前向きに学習、生活するのだろう。結果的に、成績も高い、という現象がついてくるのだ。
「朝飯を食べる」から成績が上がる(いや、そういう面も実はあって脳が活性化するとかあるのだけど)それよりも、「しっかりした親」だから、成績が上がるという側面の方が大きいと思った。まあ、人は具体的な目標でないと努力できないから「朝飯を食べさせよう」で取り組みはよいのかもしれないけど・・・。
 そう、防犯の必要もなく安全で、みんな健康で、選挙にも関心が高く政治への参加率も高い町を訪れて、(もとはコミュニティーの強さだと感じ)想起したのであった。


特別養護老人ホーム「心助園」
−高齢者福祉について−


大分県杵築(きつき)市の山の上にある眺めのすばらしい施設。15年4月開設。入所は50名定員。ショートステイ10人用意。現在の待機者数は70人ほど。杵築市は高齢化率26%である。このホームの32人も杵築市から来ている。入所者の平均介護度は4,1。利用料と保険料をあわせた個人負担の平均は55000円/月くらい。これに保険制度改正になると+1000円〜+15000円くらいになるだろうとの説明があった。
・現会長が「杵築の地元に老人ホームを造らねばならない。」と10年の歳月をかけて国県を説得し、補助を受けて造った施設であった。ヘルパー他介護に当たる職員の感じもよく、施設が明るい感じを受けた。廊下も広く眺めもよく作りもよい。1人部屋20室、2人部屋4室、4人部屋8室の構成。これからは国は1人1部屋のユニットケアを目指そうとしているが、それではなかなか経営が成り立たない、今は職員1人で利用者3人体制だが、1人1室のユニットケアでは利用者2人に職員1人が要求される、とのお話もこぼれていた。


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