教育関連質問を自分でまとめていると、その時々の流行があることを感じます。今回は「美しい日本」に関連した道徳、モンスターペアレンツ、特別支援教育と教室不足でありました。
制度・総論
○知事と教育委員会の関係をどう考えているか?
答弁 島村教育長)
知事は県民から直接選ばれている。その教育観を十分承知しておくことが必要。意見交換を随時している。教育委員会は主体性を持ちつつ、知事と連携を図り、教育課題に取り組んでいく。
○日本青年会議所が作ったDVD「誇り」について県教委が縛りをかけるのはおかしい。どう思うか。
答弁 島村教育長)
市町村の小中学校の問題は市町村教委が判断すること。おっしゃるとおり。
○教員採用で他県からの中途採用、民間からの採用を増やせ。また、県立高校に教員養成コースを作ってはどうか。地元教員が増えるぞ。
答弁 島村教育長)
他県経験者採用試験は平成17年度から、教員免許のない民間採用試験は看護師を平成16年度から行ってきた。今後とも努力する。高校生に対する説明会も平成19年度に実施することにした。また、小中学校に教師の補助の仕事をさせる取り組みも実施した。議員の指摘はもっとも。高校に養成コースをつくるには、大学と連携できるか、科目開発や教員の確保、など諸問題がある。
○学校選択性にはよい面ばかりでなく、弊害もある。どう認識するか。
よい面は保護者や児童生徒の意向を尊重し、学校に関心を深めさせ、特色ある学校づくりと活性化に寄与する面。悪い面は風評による選択が行われたり、地域とのつながりの希薄化など。現在選択性導入市町村は小学校で5つ、中学校で15市町村。人事異動は市町村教委の内申を重視。選択性導入は地域、保護者の意向を踏まえ市町村が決めるもの。県は情報提供。
いじめ・規律・道徳・不登校
○美しい埼玉を目指すためにも戦後教育のゆがみをただすべく思い切った教育改革が必要だ。道徳教育について知事の所見を伺う。
答弁 上田知事)
「教育に対する3つの達成目標」を作ったが、この達成で相応の効果が期待できる。「学校応援団」も低下した学校・家庭・地域の教育力を励ましていく点で期待する。そしてさらに「埼玉の子ども70万人の体験活動」も展開中だ。思い切った教育改革は思い切って原点に返ること、とすればこの3つは意義あるものと考える。ただ、往々にしてやった振り、または、経過を大切にするあまり結果を忘れる、ということがあるので、そのようなことがないよう教育委員会のがんばりに期待したい。
○道徳教育は徳育の授業として。また、武道を教えるべきではないか。
答弁 島村教育長)
道徳は教えたことが子どもの実感になって、それが実践されるというのが望むところ。
県では、教材資料を作ったり、研究協議会を開いたりしている。教育再生会議では「徳育」にするという提言がされたが、今後中教審を経て、文部科学大臣に答申される。国の動向を見たい。武道については中学では選択授業で行われている。
○いじめ対策は教員の実態把握もふまえたものに。さわやか相談員のことについて詳細は。
答弁 島村教育長)
18年度にはいじめについて子どもの視点に立った把握に努めた。19年度はその道に精通した教師等からなるいじめ対策検討委員会を立ち上げ、適切な対応、クラス経営のあり方などを検討する。今後「いじめ対応ハンドブック」を作成し教員の指導力向上を図る。さわやか相談員は今年度から市町村は位置に対する助成事業に変えた。つまり、市町村が配置するなら半分お金を負担するという形。財政支援に先駆けて相談員に必要な知識、活動上の留意点など説明した。
○万引き防止について小学校の早い時期から教えるべきではないか。
答弁 島村教育長)
小学校低学年からたとえば、非行防止の指導事例集(平成18年度全校配布)を使ったりして指導している。警察が関わる非行防止教室もある。
○不登校を支援するフリースクールなどの活用で不登校解決を。また、各フリースクールへの支援をすべく、仲を取り持つ[NPO中間支援センター]を作ったらどうか。
答弁 島村教育長)
フリースクールの活動は大きいが、聞いてみると、情報の相互交換などの要望はなく、むしろ活動場所の提供、財政支援の要望があった。今後不登校に取り組むNPOに県が何をすべきか検討していきたい。
○ 犯罪の目は小さいうちに摘むべき。改正少年法を踏まえた対応をどうするか?
答弁 加地警察本部長)
本県刑法犯のうち検挙された非行少年、補導された触法少年は平成15年から3年間8000人台で推移。昨年は7000人台に減少。ただ、小中学生が4割を占め高校生を上回り、14歳未満の触法少年はこの2年連続で1000人を超え、低年齢化している。今回の少年法改正で、事実確認の調査と権限、手続きの明確化がされた。少年の特性を踏まえ対応する。また、非行防止教室など健全育成活動もがんばる。
答弁 島村教育長)
刑法犯で検挙、補導される少年数は10年前に比べ中学生が7割増、低年齢化が進んでいる。早期発見、早期対応をすべく、日ごろから努力。学校だけで対応困難の事例は警察、民生・児童委員との連携で対応に務める。携帯電話のファイタリングとメディアリテラシィーについては、啓発リーフレットを作って全児童生徒に配布した。保護者会など通じ徹底。メディアリテラシィー教育は小学校では総合学習の時間、中学では技術家庭科、高校では情報などの時間で行っている。
○規範意識をどう養うか? 体罰といわれるのを恐れ消極的になっていないか。
答弁 島村教育長)
そういう状況もある。具体的な指導資料を作成、各学校で研修会、指導力の向上に努力。また、教師を孤立させず、組織対応すべく、複数教頭制、新主管制を使って学校を支える
○ニートにさせないためにどんな教育をしているか。
答弁 島村教育長)
小学校から発達段階に応じてキャリア教育を施し、望ましい勤労観、職業観を育成。その実践事例等記した指導資料を18年度に作成、普及。小学校では工場見学など、中学校では3日間の職場体験(ほぼすべての学校がやっている)を、そして、今年度からは5日間の内容を記した「職場体験学習プログラム」を全中学校に配布して働きかける。高校ではインターンシップなど在学中に5日間程度の体験活動実施中。また、高2を対象に保護者、教員、企業関係者での「4者面談」も行っている。
特別支援教育・ノーマライゼーション
○東松山市が就学支援委員会自体を廃止した。県教委の考えは? また、県西部の知的障害を中心とする特別支援学校の教室不足にどう対応するか?
答弁 島村教育長)
東松山市はこれまでも「(福祉は)地域で」をモットーに進められてきた。それをさらに進めたのだな、と思った。東松山でも就学支援委員会に代わって、就学調整相談会議が設置される。法令にも保護者や専門家の意見を聞き、判断する仕組みが整えられるていること、が定めている。今後他市町村が続く場合も、その仕組みの有無をみていく。
本県の知的障害の特別支援学校在籍者数は平成9年度以降増加しており19年度は3368人。平成9年度の約1,5倍になった。本年4月には高等養護学校2校をつくり、さらに既設高校内に養護高等部分校を3校設置をすすめている。県西部は平成20年4月開校を目指し川越初雁高校内に川越養護高等部分校を設置すべき改修工事中。しかし、まだ教室は不足。引き続き県有施設等の改修によって教室不足解消を進めていきたい。
○特別支援学校の教室不足は、地域で学べ、のシグナルととらえるべき。インクルーシブ教育に対し見解を。また進める場合人的支援など全体的にか、要請に応じてか? また就職支援が必要だがどうするのか。
答弁 島村教育長)
先に答弁した以外にも上尾東高校を活用し新たな特別支援学校の設置をすすめている。教室不足解消に向けての方針は前述した通り。支援籍の全県定着をまず図る。インクルーシブ教育だが、一番大切なのはその子にとって必要な教育が受けられるということ。原則から改めるというより、市町村の状況を考慮しながら教員配置など国にも求めたり市町村と連携していきたい。特別支援学校の就職率はこの5年間で7%上昇、しかし、平成18年度も24%。新たに各学校の進路指導担当者で就労支援連絡会を組織し、情報の共有に努めたい。
○特別支援学校で県南部の教室不足についてどうするのか。
答弁 島村教育長)
特別支援学校在籍児童生徒数は19年度は4671人で平成9年度の1,3倍になっている。県南部知的障害の学校は5校で68教室の不足だ。そこで上尾東高校の施設を利用し、小、中、高等部をおく知的障害の特別支援学校を作る計画。40学級規模を予定。地元上尾市の跡地利用に対する意向もあったようだが、今はご理解いただいた。21年4月の開校を目指す。
○LD,ADHDなどの子どもにどう対応しているか。
答弁 島村教育長)
当別支援教育コーディネーターが全校特別支援学校においては求めにより臨床心理士の派遣など支援する。
教師・親の問題について
○教員の承認研修は厳格すぎるのもいかがなものか? もっと校長との信頼関係で承認すればよい。
答弁 島村教育長)
教育公務員特例法によって、校長の承認で教員は勤務場所を離れて研修できることになっている。研修内容、職務との関連性、成果についてきちんと確認するよう、市町村教委と校長に指導してきた。教員自身幅広い人間になることは大事。
○モンスターペアレンツにどう対処するか?
答弁 島村教育長)
まず、教員が保護者の話を聞き、意思疎通を図って問題解決の糸口を探るのが大切。しかし、それ以上の案件もあるので管理職が中心になって組織的に対応するよう指導助言してきた。事例によっては医師、弁護士、警察、PTA、地域など外部の協力を得ることも必要と思う。対応策について検討していく。
○勤務時間が長く、授業時間が少ない矛盾をどうするのか?合わせて、モンスターペアレンツについて。
答弁 島村教育長)
平成18年度の文科省調査では教員は平均10時間45分勤務とか。授業は部活などの子どもと関わる時間はうち6時間44分、授業準備、成績処理など間接的な部分は2時間10分という。そして、職員会議や保護者対応などで1時間51分。会議の精選、業務のスリム化など市町村教委と取り組んでいく。その際、県教委が市町村(学校)に調査などで
命令する問題があるとの指摘だが、県では見直しをしてきていて、18年度には平成15年比、調査で40%減、会議で25%減にしている。今後も努力する。モンスターペアレンツについては担当教員、管理職、そしてことによっては外部の人(医師、弁護士、PTA、地域、警察)の協力も必要。市町村教委と検討していく。
高校教育・定時制
○県立高校で模擬投票をしてみたらどうか?
答弁 島村教育長)
政治意識醸成、政治参加態度を養う意味で有効な方法。平成19年度は3校行った。憲法改正手続きの法律でも18歳以上が参加と決まった。具体的な事例を各高校に知らせて参る。
○川越高校定時制は狭山高校のパレットスクールに統合するのでなく、川越工業に編入させる方がよいのではないか。工業に普通科が新設されるのだから。
答弁 島村教育長)
川越高校は通信制課程との併修で3年でも卒業できる。狭山のパレットスクールも3年でできる。だから、狭山に統合した。川越工業には普通科(4年制)を新設した。
○県立高校廃校で、跡地をどう利用するのか?
答弁 島村教育長)
平成13年3月に作った「21世紀いきいきハイスクール推進計画」に基づき統廃合を進めている。14年1月には前期計画を、17年2月に中期再編整備計画第一期、
18年10月に第2期を作った。この結果、10校の跡地利用が課題になっている。地元の意向と関係部局を調整して検討を進めていく。
その他(図書館・放課後・歴史・給食・理数系・体力)
○学校図書館について県の考えは? また、本県教育の特色として読書活動の充実を打ち出したらどうか?
答弁 島村教育長)
学校図書館は「学校図書館図書標準」によって蔵書数が決められている。
国は平成19年度から5カ年計画を作り、達成するために地方交付税措置をしている。県はそれを市町村に働きかけていく。なお、県立学校の場合はたとえば19年度は1校あたり約134万円、総計2億円措置している。また、12学級以上におくべき司書教諭は小、中、高校でほぼ配置されている。12学級未満の学校についても働きかける。
また、移動図書館、公立図書館との連携、蔵書のデータベース化など普及をはかりたい。
県は平成16年度に「子ども読書計画推進計画」をつくった。昨年「心に残る子どもの本100選」「高校生が選んだ推薦図書100選」に取り組んだ。小中学校の9割で朝読書をしているようだ。今度市町村レベルでの読書活動推進計画を作るよう促していく。
○放課後子ども教室について
・学校応援団とどこがちがうのか?
・地域のボランティアに任すのも限界があるのではないか。どう進めるのか。
・余裕教室のない小学校ではどう取り組ませるつもりなのか。
・補助金はどうするか。教員OB,OGへの働きかけをしたらどうか。
・学童クラブと競合するが、学童クラブ指導員が失職するのではないか。
答弁 島村教育長)
・「放課後子ども教室推進事業」は放課後と週末の子どもの居場所作りを目的にしていて、学校応援団とは趣旨が違う。が、連携の可能性も検討する。
・活動の中心になるコーディネーターに対し、地域との連携、ボランティアの確保など研修会を行う。下校時の見守り隊についても学校ごとに対応してもらっている。この事業は今年度は国は全小学校の半分達成(約1万校)といっていたが、まだまだ。本県でも20市町村が実施中のみ。県は先進事例の紹介、コーディネーターの研修などで市町村を支援する。
・実施場所は余裕教室に限らない。体育館や公民館、中学校でやっているところもある。
・補助金は「人的配置に対する助成拡大について」国に要望したところ。
・教員OB・OGに任せているところや学生ボランティアに任せているところなどの事例を紹介していく。
・放課後児童クラブ(学童クラブ)は働く親を持つ子供の生活の場提供が目的であり、放課後子ども教室とは違う。活動が重なる部分は指導員と連携を図ることになっている。とにかく放課後子ども教室は新たな事業。市町村を支援していきたい。
○沖縄戦での集団自決で軍の関与を書かない方向で決まった検定に対し、県議会等で撤回を求める動きが起きている。しかし、本日議場にお越しになっている当事者の方から聞いても、軍の関与はなかったという証言も出ている。歴史教育においてそういう不確かである事例をどう教えるべきと考えるか?
答弁 上田知事)
どの世界でも時刻の歴史に誇りを持たせるよう教育はなされている。香港返還の式典時にイギリスは、香港に自由と繁栄をもたらした(チャールズ皇太子)と総括し、アヘン戦争について弁解を求める人はいないだろう(パットン総督)と述べている。これに対し江沢民主席は「祖国復帰ができた。」といったのみで、日本に対する態度とは二重基準で臨んでいる。イギリスにしてこの通り、歴史教育では自国の歴史に正しい理解と愛情がもてるようするものである。確証の持てない記述や数字は載せるべきでないと考える。なお、今回の一連の動きに対してはコメントを差し控える。裁判を通じ真実が明らかになるのを期待する。
答弁 島村教育長)
検定教科書、プラス様々な資料で配慮しながら指導するよう指導、助言しているし、そうしてきたと認識している。が、一方的な見方だけを扱い指導している事例があるのなら、それは遺憾だ。生徒自身が様々な立場から考察し、公正に判断することができるようにすることが重要と思う。
○学校給食について・・・マーガリンは大丈夫か?また、食料安全保障の観点からも米飯給食を増やせ。
答弁 島村教育長)
平成19年6月21に国が出した概要書では、トランス脂肪酸は摂り続けると動脈硬化などの虚血性心疾患のリスクが高いとの欧米の研究が紹介された。ただ、リスク評価を行うために知見が十分ではない、とも報告された。県は市町村に情報提供をしていきたい。なお、埼玉県学校給食会では19年4月からパンを作る原材料として低トランス脂肪酸のマーガリンを使用しているとのこと。水素添加の処理を行わなかったり、原材料の配合割合を変えることでマーガリン含有のトランス脂肪酸は10%から2%に減ったとのこと。米飯給食についてだが、県立学校では夜間定時制で週4,3回、特別支援学校で週2,6回実施。特別支援学校では生涯に応じておかゆをペースト状にしたりと米飯給食に取り組んでいる。
○多重債務の恐怖について教えるべきではないか。
答弁 島村教育長)
高校では、家庭科の授業で生徒全員が消費生活教育の中で教わっている。消費生活支援センターの研修などに参加し、教える教員も努力中。国から「多重債務問題改善プログラム」が出されたとのことなのでこの夏の教員研修に組み込みたい。
○体力向上に向けどうするつもりか。また、高校生が小中学生に教える「県立高校サポーター制度」を作ってみないか。
答弁 島村教育長)
児童生徒の体力は昭和60年度をピークに停滞、低下傾向。17年度に「3つの達成目標」を定め、18年度には体力テストを新しくし、多くの種目で向上がみられた。ただ、50m、立ち幅跳び、ボール投げはだめだった。そのため今年度は、走跳投の力を高めるべく、指導資料を作成し全小中学校に配布。また、個人にも「体力プロフィール」を配布し、個別の向上にも取り組んでいる。
「県立高校サポーター制度」は県立高校が地域の信頼を得る絶好の機会になる。スポーツ限定ではないが、すでに34校で実践がある。草加高校の実践を紹介されていたが、よいものなので高校生の体験活動の一つに位置づけて推進したい。
○理数系教育をどう充実させるのか。
答弁 上田知事)
戦後の日本を支えたのは国民の勤勉さ、知識、技術力だった。9人もの科学系ノーベル賞学者の輩出も然り。しかし近年OECDの調査でも数学的活用能力は6位に、読解力は14位に、数学への興味は32,5%(世界平均53,1%)と低く、危うい状態。県には理化学研究所、産業技術総合センター、環境科学国際センターなどの機関もある。平成15年度から「彩の国科学大賞」を実施してきたが、教育委員会にはそういうことにも多く触れさせ、子どもたちが科学する心を育てていってほしい。
答弁 島村教育長)
スーパーサイエンススクール受託で4校、サイエンスパートナーシッププロジェクトで20校、国に指定された。18年度指定の浦和一女では国際学生科学フェアの動物学部門一位も出た。19年度からは「将来の日本をリードする人材の育成事業」をもうけ、大学の授業参加、研究者の招聘、を始めた。また、小学校教諭に対して2年次に小学校理科スキルアップセミナーを開始、授業では教諭などが授業で補助する小学校理科支援員等配置事業を推進中。現在15市町111校で取組中。