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藤本正人議会報告
埼玉県議会 平成17年3月議会 特集



平成17年3月県議会 藤本正人の質問(教育編)
みなさん、こんにちは。県議会議員の藤本正人です。3月25日、新年度予算議会が終わりました。新年度は一般会計1兆6366億4700万円分の予算案(お金の使い道)が示され、共産党四人をのぞく全会派八八人(自民党 六二人、公明党 十人、地方主権の会 十人、民主党 四人、無所属 二人)の賛成で可決しました。
 また、一般会計とは別立てで予算編成しているその他の事業(たとえば、競輪競馬などの公営競技、水道、病院、電気、工業用水、地域整備、流域下水道、県営住宅など)の予算も可決、決定しました。(水道と県営住宅特別会計は共産党のみ反対)
つまり,合計2兆963億5632万円の使い道を決めたことになります。さて、二月予算議会では上田知事との対抗上、予算特別委員会を設け、一対一の対決方式で行っています。今年は、私もその委員に選ばれたので、しつこく訊いたほうがよい題材について三題選び、問答いたしました。話題は「教育」に絞りました。よって、相手は教育長になります。以下、そのやり取りを掲載します。話し言葉なので少し変えたところもありますが、ご容赦ください。

1.浦和商業(定)の役割を戸田翔陽高校(3部制で単位制の学校)は引き継げたか? 
  定時制高校の役割をしっかりと。
2.中学校の進路指導を保護者に信頼されるようにせよ!
  そのために@学力テストを進路に生かせ、A私立高校との相談は学校がやれ
3.義務教育費国庫負担は堅持を・地方分権のためというならまず県が模範を示してから
4.信頼を失った進路指導・その背景と思うこと

【ダイジェスト】
★ 中学校の進路指導を保護者に信頼されるようにせよ! 
そのために・・・・ 1.学力テストを進路に生かせ 2.私立高校との相談は学校がやれ
(答弁要約)
今までは「学力テストはやらない。そういうテストは進路で使わない。」方針だった。が、今年度から小5と中2で県学力テストを行う。それを進路に生かして結構。(個人、学校、に診断結果を渡す)なお、藤本議員は「他学年でもやれ、中学校3年では3回くらいやれ」との要望だが、それは検討させてほしい。また、「私立との相談は保護者でなく学校がやれ」との要望も検討させてほしい。よって、これらの件について今年度も検討委員会を設置し、改善に努める。なお、進路指導の改善については藤本議員の一昨年からの要請にこたえ、中学校進路担当の先生にも意見を聞き、対応策を考えてきた。ひとまず3月末までに進路指導の実務手引きを各学校に配布したい。
★ 浦和商業高校と戸田翔陽高校(3部制で単位制の学校)について
浦和商業定時制の良さ(不登校や中退者でもたちなおれる学校)を。戸田翔陽高校はきちんと引き継いだのか?
(答弁要約)
昨年の藤本議員の質問を受け、浦和商業定時制に代表される定時制のよさを引き継ぐべく、戸田翔陽高には相談員を配置し、全教員をカウンセリング訓練し、スクールカウンセラーも置く。また、20人ホームルーム制、国語、数学や英語は1年次は習熟度で3クラスに分け対応する。不登校児が合格できたのか、との懸念だが、戸田翔陽入試では年20日以上欠席の不登校経験者が152人受験し、90人以上合格した。(入学者数は240人)


第一問答
■浦和商業(定)の役割を戸田翔陽高校(3部制で単位制の学校)は引き継げたか? 定時制高校の役割をしっかりと。

●(藤本議員)
それでははじめに、新設される戸田翔陽高校と定時制高校の役割について、伺います。私は昨年の六月議会、次のように質問致しました。
浦和商業定時制の実践は、今、教育局が一生懸命取り組んでいる学校の活性化、特色化をむしろ先取りしたようなものであるから、統廃合に当たっては、廃止するのではなくて、むしろ生かして、残していくべきではないか。また、統合してできるパレットスクールは、単位制の学校であるから、ホームルームを基本とした、すなわち居場所を求めた今までの浦和商業の良さ、定時制の良さを引き継ぐことは、無理なのではないか、と問いました。しかし教育長は「あくまでも、新設される戸田翔陽高校に浦和商定時制の良さを引き継ぐ」と答弁され、『三校の定時制課程から引き継ぐ教育活動等検討委員会』を設け、その提言を戸田翔陽高校で対処していただいた、と思っております。どのような対処をされたのか、まずは伺います。
● (稲葉教育長)
お答え申し上げます。このたび、戸田翔陽高校の開設に向かって、準備をしてきました。その基本的な考え方は、お話にございましたように、統合される定時制の高校の良さ、浦和商業と蕨と与野のそれぞれの定時制の良さをきちんと引き継いでいかしていく、そういう意味で委員会を設置し、そこで検討していただいた。で、その検討結果にそって、それを戸田翔陽高校の中に実現すべく今まで対応してまいりました。
● (藤本議員)
具体的に、どのように戸田翔陽高校で対処されたのか。
● (稲葉教育長)
委員会からは、何よりも、これまで定時制高校の中で、きめこまかな指導体制とか教育相談体制というのは確立されていたと、それを引き継ぐべきであるとか、あるいは教職員の姿勢として、生徒との信頼関係、これが極めて大事だから、まずそれを確立するとか、そういったようなご指摘をいただきました。そこで、それにそって、例えば、きめこまかな指導体制ということでいえば、20人に1人のホームルームの担任制を設けるとか、あるいは教育課程の中で特に1年次の必須科目である国語とか数学とか英語において、生徒の希望を尊重しながらも、基礎クラス、標準クラス、発展クラスといった、三つの段階に分けるとか、そういった対応をさせていただいております。それと、教職員の姿勢、これはきわめて重要でありますので、全ての教職員を対象としてカウンセリングの訓練を受けさせ、さらに、スクールカウンセラーも配置すると・・・そういったような対応を具体的にはさせていただいております。
● (藤本議員)
その他にはないんでしょうか。もう少し、お答えがあってよい気がしますが。
● (稲葉教育長)
基本的には、戸田翔陽高校というのは、昼夜開校型の柔軟な学習システムを持つ高校であります。つまり、生徒の多様なニーズに対応するということが基本的なコンセプトになっております。で、そういったことで、今申し上げたようなかたちでのカウンセリング体制を確立する、あるいは、教育相談員を3人配置するという、具体的な対応をいたしました。
また、今回、再編整備対象校の良さを引き継ぐというのが(再編の)前提にあったわけです。だから、中学校での不登校経験者がパレットスクールに実際何人合格できるのか、非常に関心を持ってきました。入試を経てみたところ、浦和商業と蕨と与野高校、これまでは全部足しまして、入学者がですね、80人程度でありました。が、今回の戸田翔陽高校の入学合格者は、不登校経験者ないしそれに準じる生徒が90人以上だったという結果となりました。つまり、もう一度学校に入ってやってみたいという子供たちを積極的に受け入れることができたかなと、そういうことでは、戸田翔陽高校の当初の目的は一部達成されつつあるというふうに認識しております。
● (藤本議員)
今、教育相談の非常勤教員もさらに配置するということも伺いました。また、不登校経験者が結果として90人以上合格したということも、伺いました。私が一番心配していたのは、条件はきちんとそろって、さあ、みなさん来てくださいといったときに、いったい定時制の浦和商業(定)に行っていた子たち、蕨(定)に行っていた子たちが、みんな入れるのかどうか、ということでした。入学者240人のうち、90人が不登校経験者ということでいうと、これは、入っているのだな、というふうに判断せざるをえません。では、実際、何人、不登校経験者が受験をし、その中で90人が合格したのでしょうか。伺います。
● (稲葉教育長)
不登校経験の受験者は152名でありました。そのうち年間20日以上欠席したことのある生徒の合格数は93人、そういう結果であります。
● (藤本議員)
はからずも、予想に反してというか、それとも、良かったと思うべきなのか・・・。良かったと思うべきなんだと思いますけれども、不登校経験者が多く入学できたことは、よかったと思っております。ただ、152人のうち93人以外の人は、不合格になったわけで、その子たちはどこかの昼間の倍率が1倍に満たなかった学校へ行くか、それとも、定時制高校に行くかになると思います。そこで、『3校の定時制の良さを引き継ぐ検討委員会』でいろいろと提言もいただいたと思いますけれども、そこでの不合格者を受け入れる定時制の役割をどのように今後されていくのか、また、検討委員会の提言を受け入れて定時制高校について、どう生かしていくのか、伺います。
● (稲葉教育長)
定時制高校の役割につきましては、これは、当初の設置されたような状況と全く様変わりしております。いわゆる「勤労青少年」は激減致しております。その一方で、不登校経験者とか、あるいは中途退学者といった方々の入学がたいへん増えております。したがって、今後、こういう変化を適切に踏まえて参ります。
今回は浦和商業・蕨・与野、この三校の定時制課程の良さを引き継ぐということでの委員会を設置したわけであります。委員会では、さまざまな観点から検討していただき、一定の成果物を得ていただきました。この検討結果はきわめて大切であります。よってこれを基にしながら、戸田翔陽高校以外の学校にも、それを引き継ぐかたちでやっていきたいなと思っております。
● (藤本議員)
残る3校のパレットスクールもあると思いますし、また、定時制高校もありますので、どうぞよろしくお願い致します。
★背景:高校再編計画について
県内中学校卒業生の数は平成元年のピーク時(約11万5600人)に比べ平成18年3月にはその55%になることが予想されている。そこで県は高等学校を特色化(単位制高校、総合学科、朝・昼・夜3部制のパレットスクール、中高一貫校、学び直し校、情報、福祉、環境学科高校の各設置や一部普通科高校を大学進学率アップ校にするなど)しながら活性化させ、高校の数を減らしていく計画を立てた。近くでは所沢東高校が新座北高校に統合されて、より基礎徹底の学校になる。この再編整備計画は前、中、後期に分けて実行され、最終的には、平成11年度153校あった全日制高校は平成25年に133から138校。
35校あった定時制高校は計19校(うち4校は朝、昼、夜三部単位制のパレットスクール)にされる予定である。その前期再編計画の中に、浦和商業(定)蕨高校(定)与野高校(定)と戸田高校(全)を合体して戸田翔陽高校(パレットスクール)にする計画があった。しかし、浦和商業定時制は中退者や不登校経験者をやめさせずに4年間のうちに元気に登校するよう生徒変容させていく学校として、付近でも知られていた。そんな学校を廃止しないでほしい、という運動がおき、平成16年6月議会で私もそれを取り上げた



第二問答
■中学校の進路指導を保護者に信頼されるようにせよ!  そのために、@学力テストを進路に生かせ A私立高校との相談は学校がやれ

● (藤本議員)
続いて、新たに実施される学力テストの活用について伺います。
平成6年度より埼玉県は北辰テスト、即ち業者テストをやらなくなりました。また、それに代わる学力テスト、公で行う学力テストや実力テスト、学校で行う実力テストなどを進路指導において利用することも禁止され、学校は進学指導をするためのデータや根拠を失ってしまいました。
何も確かなことが言えなくなって、保護者や生徒の信頼を失ってしまったわけです。
このことは、私が平成15年の6月議会で申し上げたことであります。
また、高校の進路相談会というのは(今までは教員が行っていましたが)今度は保護者が行くことになりました。しかし、禁止されたはずの偏差値を使っての確約行為は依然として行われています。さらには、学校は全くかかわらなくなったけれども、逆に塾の先生が塾のテストで確約行為を行ったりもしている現状になってもしまった・・・。
で、進路の指導のあり方として、これを見過ごしてはいけないのではないか、子供を義務教育によって育て、巣立たせるまでが学校の責任であるから、これを見過ごしてはいけない、と平成15年6月議会に指摘したのでした。平成16年6月議会には、吉田弘議員がさらに重ねて指摘をされました。
それらによって、どのように教育局では対応され、何がどう変わったのか、伺います。
● (稲葉教育長)
藤本議員からは平成15年6月の議会で、また、吉田弘議員からは平成16年6月の議会で、それぞれご指摘をいただいております。で、そのうちのひとつは進路指導について中学校の現在の現況というのはかなり厳しい状況にある、手元に十分な資料がない、というお話でありました。これにどう対応するのかというご指摘を受けまして、私どものほうでは、まず、現場の進路指導担当者から直接話をきこうということで、会議を何度かもたしていただきました。で、その延長線上に立って、どのような資料が現存し、それをどういうふうに使えば適切な進路指導が可能かということを組み立てまして、現在そういった作業を行っております。
それからもうひとつ、いわゆる青田刈りというご指摘がございました。つまり、私学の入学では、実質的に塾と関連させることによって青田刈りが行われていると、これをどういうふうに対応するのかというお話だったと思います。そこで、ご質問をいただいた後、15年の7月でありました。また16年の8月もそうなんですけども、県と、それから県内の私学と共同で協議をする場である『埼玉県公私立高等学校協議会』の席上で、私のほうから私立高校の委員の方々に対しまして、「そういった事実があるんであれば、それを行わないように!」と強く要請を致しております。私立中学高等学校協会と話し合う機会もございまして、その話し合いの中では、「ルールを守っていきたい」というような返答をいただいております。
● (藤本議員)
ご答弁ありがとうございます。しかし、事態はそのようには、いっておりません。
埼玉の受験生は、通知表と北辰テストのコピーを事前説明会では必ず持ってきてくださいと、どこの私立に電話しても必ず言われます。これは平成16年の入試ですが、「北辰テストが低いので希望学科は無理ですね。」と、「もうひとつワンランク下のところを(内申ではOKだったけれど)、受けるなら確約しますよ。」ということを埼玉県内私立の高校は言っております。「内申がよくても、北辰が低いから無理ですね、出直して来てください。」と、埼玉県内の私立高校が今回の入試で言っております。「北辰テストがなければ、入試相談に応じられないよ、帰ってくれ。」と、東京都内の私立高校が2年前に言いました。「埼玉の内申は信用できないので、北辰を持ってきてくださいね。」と、これも東京都内の私立高校が平成13年の入試で言いました。親が入試相談に行ってみたら、すでに塾を通して北辰の結果が伝わっていて、「親御さん、何も見せなくても、もう大丈夫ですよ。」と、今年、東京都内の私立高校で言われました。また、「内申の数値が○○ですから大丈夫、だいたい受かりますよ。」という相談は今も行われているんですけれども、それが数値、基準をみたしていなくても、北辰テストの基準さえみたしていれば、「ああ、だいたいいいですよ、こっちがOKですから」と、今も言われている学校があります。
この実態をどう思われますか。また、どう対処されますか。
● (稲葉教育長)
高校の入学については、その子供にとってたいへん大きな重みのものがございます。で、全ての子供たちにとって、同じようにたいへん大切なことである。つまり、公平、公正に行わなければならない、そういうものであるというふうに理解しております。仮に、お話のように、ある私学において、北辰テストの結果をもって合格させます、というふうな確約があったとすれば、それは、失礼(失政?聞き取れなかった)というふうに、私どもは受けとめております。
で、これは事実ならば、やはりそれは、ないようにとの申し入れを行わなければならないと思います。合格の確約をそれで行うということは、たいへんな大きな問題であります。
● (藤本議員)
そう言われてもですね、現実としては、行われているんであって・・・。
では、ちょっと観点を少し変えて伺います。
まず、中学校の現場として、文部省の平成5年の通達があって学力テストや実力テストなどを進路指導にいかしていくのは輪切りの進路指導になるのでよくない、ということで禁止されたと思うのですね。
今回、学力テストを小学校5年生と中学校2年生で、全県的に行っていただくのは、とてもありがたいことですが、どちらかというと、学力到達度調査(どのように指導していくかについてと、本来の子供たち自身がどこが弱いのかというのを把握するためのもの)だと思います。そこで、ちょっと伺うわけですが、そのような学力テストについては、具体的には、子供たちにどうフィードバックをするのか。
学校にはどうなのか、市にはどうか、県はどうか、そして子供自身にどのようにフィードバックするのか、しないのかを、まず伺います。
また、それを利用して中学校3年生のときに数回、(二、三回)も行えば、自分の学力が、知的学力がどの程度まで達成しているかということは、判断はできると思うのです。それを進学先選びの判定材料として利用してはいかがですか?
高校に持っていかなければいいわけですから。どうですか。伺います。
● (稲葉教育長)
今回、考えております学習状況調査、これは小学校の5年生、中学校の2年生の全児童生徒を対象としております。で、この目的は、児童生徒の学力の状況を的確に把握すること。そして、その上で学習指導の改善にいかし、学力の向上をはかるということです。したがいまして、県全体の調査結果については公表いたします。あわせて、児童生徒に対しましても、「あなたの学習到達度はここまでですよ。」ということを知らせるのはたいへん大切でありますので、児童生徒には個人の調査結果は伝えてまいります。と同時に、その際に、児童生徒に対する激励とか、あるいは支援、こういったものは担当教員からさせていただきます。また、各学校につきましても、児童生徒の調査結果をもとに学校の課題を明らかにするということが必要でありますので、学校にもお知らせをしたいというふうに考えております。
それと、こうした学習状況調査によりまして得られた資料、これを中学校の進路指導に活用すべきではないかというお話でございます。これはご指摘のとおりでありまして、北辰テストのようなテストを平成5年の文部省事務次官通達の関係上、直接に使えない、そういう状況に今はあります。で、学校現場にいろいろ聞いてみますと、やはりデータが不足していると・・・これが実態であります。そこで、(進路指導に使える)どんなデータが他にあるのだろうということを学校単位で今、蓄積をはかっております。
そういう点でもこの学習状況調査は、非常に重要なデータです。たとえ中学2年であっても、その後どういうふうな進路を考えているのかということについても、アドバイスはこれをもとにできますので、活用していきたいというふうに考えております。
● (藤本議員)
ご答弁ありがとうございます。ただし、中学校3年生のとき、どれ位自分の力があって、どのような高校を受けるのかという判断をするときに、中学校2年生のデータだけでは、なかなか厳しい。  
教育長さんは今おっしゃらなかったけれども、「各学校で実力テストを独自にやって、それを進路指導に役立てるのはかまわない」と平成15年の私の質問のときに、対処していただいていると思うんです。ただし、それは各学校に任せるということで、これは遅々として進んでいません。(進路指導に役立つほどにデータを蓄積するにはまだ時間がかかります。)
子供一人一人が自分の到達度を自ら知るという意味で、学力テストを中学校3年生で、いや、本当は小学校3年生から中学校3年生まで全学年やってですね、そして、最後の中学校3年生は2回か3回やるというのが、悪いことでは決してないと思うのですけれども、どうでしょうか。
● (稲葉教育長)
ご指摘のとおり、特に進路を控えております中学校3年生の学力の状況というのを把握するということは、たいへん大切なことであります。で、現在、私どもで検討しておりますのは、お答え申し上げておりますように、小学校の5年生と中学校の2年生の学習状況調査であります。ともあれ、この学習状況調査を平成17年度に、本県独自の問題を作成し、行わせていただきたい。で、その推移をみながら、なお、その拡大ということでの中学校3年生への適用については、検討させていただきたいと思います。
● (藤本議員)
新年度予算の予算特別委員会ですから、これ以上あれもやれこれもやれと更なる要求をするのはよくないのか、とも思いますけれども・・・。
小学校3年生から中学校3年生まで毎年行う学力テストは、岩手県で行われています。また小学校4年生から中学校3年生までは、秋田・茨城・新潟・和歌山・香川で、すでに導入されております。
埼玉県も是非そのようなかたちで・・・(お願いしたい)。
いや、むしろ現実にあっては、本人はきっと自分の学力を知りたいんだと思うのです。そして、「あんたは偏差値がいくつだからここしか受かんない」みたいな短絡的な指導をするなというのが文部省の当時の通達の趣旨だったと思うんですね。ですから、現実を是非みていただいて・・・。
教員も困っているわけです・・・。保護者も不満を持っている・・・。
私が知っている保護者は、「塾の先生はよくやってくれて、自分の子供のために私立の学校に相談にも行ってくれたが、学校の先生はわからないと言った。まったく、だから、先生のことなんか信用できない。」と言っていました。また、他の、PTA会長をしている保護者は、「いったい全体、三者面談なんて時間をとられて、なんて時間の無駄だったんだ。」と。「自分は会社を休んで行って、15分間三者面談をやった。しかし、なんの確かな情報ももらえなかった。無駄だった。」と言っております。このような、保護者と学校の関係が続く限り、よいことは生まれないと思うのです。そのへんで、どのように対処されていくおつもりか伺います。
● (稲葉教育長)
公立学校の現況は、例えば学力の問題ひとつをとりましても、県民の方々からみて、おかしいのではないかというふうなご指摘をいただいている状況にあるわけであります。で、そのうえ、今お話にありましたように進路指導も必ずしも十分ではないというのは確かに実態としてあるということは認識しております。そういうことでありますので、私どものほうとしては、一つは学習状況調査、これを継続し、しっかりとやって、で、その上にたって、子供に対してどのような指導を行っていくのかということをはっきりとさせていきたいというふうに思っています。また、さらには、基礎基本を大事にするための「三つの達成目標」、これをしっかりやっていきたいというふうに考えております。
お尋ねの進路指導につきましても、保護者、あるいは県民の方々の信頼を回復させるべきだと、その何かを考えるべきだというお話は、そのとおりであります。そのためには、現場の教員とともに、できるものは何かということを整理しておりまして、今年度、まずこの3月末までには、各学校で進路指導でこれだけはできるよ、というような資料をまとめる予定になっておりまして、4月にはそれを配布するということにしたいと思います。
なお、さらに、進路指導はこれでいいのかということについての検討は、新年度になりましても新しい委員会を設けまして、継続してやっていくつもりです。で、その中でもなお、参考となるものは、集約をし、それを各学校にフィードバックするということを考えております。
● (藤本議員)
進路指導をどうするかの検討を新年度も続けてやっていただくということは、ありがたいご答弁でした。
ただ、なにぶんにも、それでお答えいただいてよし、というふうに悠長なことは言っていられないと私は感じています。学校の教育力はどんどん下がってきて、保護者からの信頼は落ちていきます。また、今中学校3年生の、また来年中学校3年生の子供のいる保護者は、本当に気が気ではありません。現実の進学選び、進学先選びをよく考えて、早い対処をしていただきたいと思います。
話を少し、観点を変えますが、先ほど「全公私立高等学校協議会」で、私立高校に対して、偏差値は絶対に使うな、と言ってくださったということなんですが、それは前から言っても・・・結局偏差値を使っているんですよ。
で、なぜ埼玉の生徒は、このように偏差値を求められるのだと思いますか。
● (稲葉教育長)
受験における合否の判定の中で、学校からの資料として、的確に判定するに足るほどのデータが寄せられてないということにやはり大きな一因があるのか、というふうに思います。
● (藤本議員)
しかし、それは、お答えのとおりで、要は内申が信頼できないということなのかもしれません。でもそれは他の都道府県も条件は同じで、全部そのようなこと(内申だけ提出)しかやっていないわけです。
同じ都道府県なのに埼玉だけが(偏差値も見せろと)いわれる。なぜなのか。そこで東京都や神奈川県と比べてみました。
もちろん、東京都も神奈川も業者テスト(新教育テストや進研テストなど)を昔はみんなやっていたんです。神奈川はアチーブメントテストです。だけれども、文部省から平成5年に通達があって、偏差値を求めたり提供したりはままならぬとなった。私立高校からは内申点のみをもとに、確約というか、そういう相談に応じますよ、ということが全体的に表向きに決まった。そこまでは埼玉も同じなのです。なのに神奈川と東京都では、今もきっちり内申だけでやってるそうです。そして、保護者や生徒の、進路指導における中学校に対する信頼もそれほど揺らいではいない。埼玉だけが今でも「北辰持ってきてね」と言われ、そして、保護者の学校に対する信頼も崩れきってしまっている。
何が違うのか! 調べてみますと結局ですね、埼玉県は北辰テストに代表される偏差値とか、そういうものに学校が手を触れることも手を引きまして、進路指導からも手を引いたもので、親御さんや生徒が直接、高校に相談に行くんですね。進路相談に親と子供が一緒に行くんです。だけど、東京は、中学の教員が行く。私立高校ごとに中学校の教員が相談に行く日は決まっていまして、そこで、「自分たちの学校からはあなたの学校へこういう子たちが受けに行きたいんだ」と、「内申はこれだけだ」と。そして、内申だけで基準に満たない子でも、そのとき教員は、「この子はこんな素晴らしい面を持っているのだから何とか是非入れてやってほしい」ということを売り込む機会を設けられている。
また神奈川県(横浜市)のほうは、逆に(私立高等)学校から中学校へみんな教員が来るそうです。その場面でやっぱりいっしょの、ひとつのテーブルで共同に子供たちのことを相談する機会がある。
埼玉県だけが、学校がその汚いところから手を引いたおかげで、親と子供、私的な関係の中での対応になってしまったから、「偏差値もついでに持ってきてね」というふうになったのではないでしょうか。
いっそのこと、学校がきちんと子供たちの進路先を決めるためにもですね、もう一度中学校で対応するように、検討いただけないでしょうか。
● (稲葉教育長)
本県の場合につきましては、ただいまのお話の件は、「私立の中学高等学校協会」と「埼玉県の公立中学校長会」が申し合わせをいたしまして、で、平成5年の文部事務次官通知に基づいて、こういった資料については、融通しあわないというようなことを決めております。しかし、確かにご指摘のとおり、他県で一部そういったことはおこなってます。また、現状から、一番大切なことは、一人一人の子供が希望通りの進学を果たせるのかどうかを、十分なデータのもと指導が行えるかどうか、ということであります、なので、他県の状況などふまえまして、検討していきたいというふうに思います。

第三問答
■義務教育費国庫負担は堅持を・地方分権のためというならまず県が模範を示してから

● (藤本議員)
それでは最後の質疑にいきます。
三位一体改革が進む中、義務教育における県の役割について、知事に伺います。義務教育国庫負担金が暫定ではありますけど一般財源化されました。これ三位一体の改革を進めるためであります。知事は、知事会において、これを賛成されたわけですけれども、私は、やはりこれは国の責任で、特に教員の数、給与に関することですから、一定ライン保たせるためにも、財政力のでこぼこがないためにも、これは賛成してほしくなかったわけですけど、地方分権とのからみでどのようにお考えになったのか、伺います。
● (上田知事)
(グラフを示して)見えるかどうかわかりませんが、すでに市町村は、一定の割合で、義務教育の支出もしております。何よりもですね、市町村が、市町村の教育委員会を中心にした、義務教育の実務上の責任者であるという枠がございます。そして、教員の人件費について、国・県が責任をもって支出している。この部分に関して、変えられるものでもありませんし、実質的にこの部分を県や国が何らかのかたちで負担しているわけですから。だから、これを仮に自主財源としても、この部分を他の支出に振り替えるというようなことはとうてい不可能だと思っていますから。むしろ、すでに市町村が30%、何らかのかたちで義務教育にかかる負担をしている以上、これは、むしろ、市町村が責任をもって、'(なんとなく市町村は県に寄り掛かる、県は文部科学省に寄り掛かるという状況を改革する第一歩になるんじゃないかという考え方をもって)賛成をした次第であります。
時間切れ 終了


信頼を失った進路指導・その背景と思うこと
受験地獄がまだまだ叫ばれていた平成4年のことであった。偏差値を狂信し、偏差値が高くないという理由で自らの可能性を見限ってしまう子ども、保護者がいたり、偏差値に寄りかかった安易な進路指導をする教師がいたり、そして、業者テストの、しかも、学期中の何回かの偏差値によって私立入試の合否が半ば確約され、左右されるという事態が起こっていた。それを重く見た埼玉県は竹内教育長は『埼玉県は業者テストから手を切る。子どもの未来につながる本来の進路指導を中学校はする。私立高校にも偏差値による入学選抜相談はさせない』と宣言した。
その動きを正しいものとして、文部省は平成5年、
・学校は業者テストには一切関わってはならない(学校で授業をつぶしてやるなど論外)
・ 偏差値を使った進路指導はしてはならない
・ 高校側も偏差値などの結果を求めてはならない
・ 業者テストだけでなく、学校が作成した実力テスト、県や市などが作る公の学力テストも、その結果を蓄積して進路指導に利用するのはままならぬ。
というような通達を全国に通知した。そこで、全国一斉にこれに従ったわけである。
先駆けを切った埼玉県は、校長会が「私立の進路相談(と称して実際ある程度合格の可能性がそこで決まってしまう)には学校として、いくのはやめよう」と決め、よその都県も誘ったそうである。しかし、それによその都県は乗らなかった。
さて、文部省に公の学力テスト、いや、学校作成の実力テストも、その結果を蓄積して進路指導に利用するのはままならぬ、といわれてしまった各中学校では、実際の進学先決定に際して大きな母集団内での生徒の位置がわからないのみならず、高校がどのくらいの難易度があるか、も測る手段を失ってしまった。敵を知らず己も知らず、なのだから百戦危うく、心許ないばかり。
また、生徒が何になりたいか、を基本にすえた本来の進路指導を試みるが、しかし、「中学卒業段階では何になりたいかはまだ決まっていない」とか、「まずは実力に見合ったできるだけ学力の高い(とされる)高校に入りたいだけ」「とにかくこれらの高校を受けて大丈夫かどうか指導してほしい」という生徒や保護者の本音の要望に応えることができず、ただただ、中学校は信頼を失っていった。
一方、業者テストと手を切ったのは学校だけであったから、業者テストは依然として自己の学力を知る一番確かな手段として、休日に中学校外の会場テストとして今も頼りにされている。
なお、県内中学校の教師が私立高校の進路相談に行くことからも手を引いたことによって、進路相談にはその学校を受験希望する生徒か保護者が行くことになった。生徒に自己決定、自己責任の場に立たせ、高校側にも生徒を早くに見させるという点では良い面もあったと思う。しかし、私立高校にとっては相手が中学教師でなくなり、ある意味で公的監視から逃れたことにより、「もし受けているのなら北辰テストの結果も持ってきて来てください。」と言う誘惑を私立に与えてしまうことになったのではないかと、私は想像する。
学校対学校で行っている神奈川や東京は、内申点だけできっちり相談されているというのが何よりその表れではないか。
そして、以上のさまざまな要素が絡んで埼玉県の生徒だけが偏差値を要求され、中学校がまったく信頼されなくなり、塾の先生が活躍し頼りにされ、私立を受験するなら業者テストは必須、の状態を作り出してしまったのである。業者テストや偏差値から最も早く手を切り、最も遠くに追いやったはずの埼玉県が最もしっかりと業者テストと偏差値を養殖してしまっているのはあまりにも皮肉である。
知り合いの東京都内中学の教師によれば「内申点だけできっちり相談しているし、保護者から進路に対する信頼はされているし、生徒は業者テストなんか受けていない子もたくさんいるよ。」と言われた。「まあ、塾の先生は先生で私立高校に対し進路相談に行っているみたいだけどね。」の落ちをつけて・・・。
○ 最後に思うこと
平成5年から10年以上がたって、社会の状況もまた変わってきた。平成15年の私の質問に、文部省の通達を恐れず「学校で作る実力テストの結果を蓄積して進路に利用しても良い」と教育長が答えてくれた。また、全生徒が学力テストを行うように変わり、そして「学力テストの結果を進路の判断材料に利用してもいい」と教育長が述べてくれるようになった。文部科学省も、今一度進路学習に対する指針は?ときかれたら平成5年のときとは違う指針をいうのではないか?
私立高校による青田刈り的な進路相談会はこれからもなくならないだろう。というのも、これは高校側にとっても保護者にとっても、そして中学側にとっても、「悪であるが必要」なものになっているからだ。また、私立高校にただ「偏差値は使うな」と言っても、今のままでは言うことは聞いてもらえないだろう。というのも、進路相談はより確かな材料がほしいものだから。中学校ごとに作られる、しかも、昨年から絶対評価になってしまった、信頼性の少ない通知表のコピーや内申点だけで相談(ある程度の確約)に乗りたくはないのは当然だからである。
だからこそ、今こそ、埼玉県教育委員会は責任を覚悟して、思い切った改革に動くべきである。理想の進路指導を目指しつつ、しっかと現実を見つめて改革するのだ。誰かの代で手をつけなければ、問題は解決されない。それが、稲葉教育長ではないか。
最後に思う。
塾に通ったり業者テストを受けないと進路において不利益をこうむるような義務教育では、絶対いけない。なんとか力を尽くし、改革し、そして、学校と地域、保護者が信頼しあえる、あったかい環境を作りたい。



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