[ホームに戻る]

教育情報記事
教育委員会傍聴記 平成18年4月13日 平成19年12月20日 その2

今日のテーマ
平成22年度 埼玉県公立高等学校入学者選抜における主な改善点等について
選抜日程
募集人員の割合
選抜方法
学力検査
調査書
実技試験・面接
その他



平成22年度入学者選抜から変わる点について (平成19年12月に中学1年生の生徒から関係する)
1. 選抜日程

現行
平成22年度
前期募集
学力検査
2月2日ころ
2月16日
合格発表
2月10日ころ
2月24日
後期募集
学力検査
2月27日ころ
3月4日
合格発表
3月6日ころ
3月10日

2. 募集人員の割合
前期募集の人員をふやし、総募集人員の80%程度を目標にする。
以下の表は前期募集の割合

現 行
平成22年度


普通科
10〜25%
50〜75%
伊奈学園総合高校
10〜25%
50〜100%



理数・外国語・人文・国際文化
20〜60%
50〜75%
体育
20〜60%
50〜100%
芸術
70〜100%
50〜100%
農業・工業・商業・家庭・看護・福祉
20〜65%
50〜100%
総合学科
10〜50%
50〜100%


戸田翔陽T,U部、狭山緑陽T部
10〜80%
50〜100%
羽生高校(昼間)
実施せず
50〜100%
大宮中央高校 0〜50%
0〜50%
その他
0〜100%
全   体
40%程度
80%程度

※中期再編整備計画(第2期)により、平成22年度に開校する予定の学校はこれらに準じて改めて検討。

3. 選抜方法
@選抜方法は今までどおり、学力検査結果と中学生時代の調査書等の得点で相関評価するが、その重視の仕方は各学校ごとに定め、あらかじめ公表することとする。
A選抜に際しては、たとえば前期試験合格者を決める場合でも、同じ方法で合格者を選ぶのではなく、1次選抜で一定数採り、2次選抜でさらに採り、さらに3次選抜まで各学校で設けることが出来るようにする。その際の各段階の選抜方法において、学力検査を重視したり、調査書を重視したり、部活動等を重視したり選抜に重点をつけることが出来るようにする。
※つまり
A高校(定員200名、うち前期募集150人、後期募集50人)だと仮定する。
前期150人合格にする場合、1次選抜で学力検査:調査書を1:1で計算し90人(60%分)採る。残る60人のうち、2次選抜として45人(30%分)調査書を重視して学力検査:調査書を1:125で計算して採り、残り15人(10%分)は3次選抜として野球で県大会以上の成績を収めた者と3年間皆勤の者を優遇する、などのように出来る、ということだ。後期合格者も同様に3段階で基準を変えて合格者を決められる、ということ。なお、赤字のところは全て各学校で決められるので、私は例示として勝手にこのようにしてみたまでのこと、ご承知おきを。

4. 学力検査について
@ 原則として前期検査は5教科(国・社・数・理・英)、後期募集で3教科(国・数・英)の学力検査に改める。
A 各教科の満点を100点満点に改める。(今まで40点満点)
B 学校の実情に応じて選択して解答させる選択問題を出題する。高校ごとに(AをやれとかBをやれと)指定する。

5. 調査書について
「学習の記録」に加え、「特別活動の記録」及び「その他の項目」も得点化し、それらの得点の合計(調査書の得点)を算出する。

6. 実技試験・面接について
全校で行っていたが、学校ごとに選択とする。また、芸術系学科や体育系学科等の適性検査を「実技検査」と名称変更する。

7. その他
@ 不登校生徒などを対象にした特別選抜については予め募集割合など定めず、志願者がいる場合に個々に合否を判定する。
A 外国人特別選抜については「作文と面接」による選抜を改め、「学力検査(数・英)と面接」の結果で選抜する。

8. その他には・・・
選抜基準(学力検査の得点と調査書の得点をどうするか、また、調査書自体の扱いとして1年2年、3年次の学習の記録をどう扱うか、さらに「特別活動の記録」や「その他の項目」を何点に換算するか、面接はどうするか、するなら何点に換算するか、前期、後期各選抜の合格者の割合をどうするか、どういう子を特に優遇して合格にさせるかなど)が各高校で決められるのですが、それを数値化したものを保護者に公表するのだそうです。
※平成20年11月には保護者に公表、周知するとか。(ここははっきりしません。もしかしたら平成21年11月かもしれません。)

で、教育委員さんからは、
@. 受験生の立場から考えてみることが今は大切だ。
A. 選抜基準などを公開するのはよい。
B. ただし、制度をころころ変えないように今後されたい。そして、検証をしっかりせよ。
との指摘を受けて、教育委員会は報告をよしとしたようでした。

【藤本コメント】
 でも、私は思いました。本当に公開することはよいことなのだろうかと。例えば、特別活動を30点分に見るよとか、その他の項目は40点分だよとか公表されてそれを知って、子どもは意識して中学生活を活動するのが良いことなのでしょうか。保護者や塾が「調査書に良いから生徒会をやっておけ。」などと子供に言っているのは今も時々耳にしますが、本当にいやらしいアドバイスだと感じます。今後は、自分はテストより調査書が良いタイプだから、この学校を受けたほうが入りやすいとか、そんなことも考えて高校を選ぶようになるのでしょう。受験する前に配点がわかるので、傾向と対策が取れる訳です。でも、そんな細かな選び方を子どもにさせていいものでしょうか。「入試はブラックボックスだ。何をされているのかわかりゃしない。採点するやつは信じられない。採点も、配点も、全部予め公開せよ」というのはどちらかというと猜疑心の強い大人の論理なのではないでしょうか?
 大人は子どもに対して、「しっかり今学ぶべきことを学べ、そして勉強も運動も仲間づきあいも精一杯やってみよ、一所懸命やればきっと報われる。」そう言って
「あとはそのときに自分で行きたい高校を、将来の希望と高校の特色と、学力と入りやすさで考えて決めれば、それでよいのだ。」といってやるべきではないのかと思うのです。

 中学生になるために小学時代があるのでもない。高校生になるために中学時代があるのではない。特に義務教育の時代にはその時々を一所懸命に努力していくのだと、語るのが親を含めた大人の役割ではないかと思うのです。
 最近の公立中学校の進路学習では、自分が何になりたいか、個々に将来の職業などに関する夢を描かせることに重点が置かれ、実際にその子どもが持っている学力と切り離して指導する傾向がありました。将来の夢を描かせることはそれはそれでとても大切なことではありますが、中学校3年になって、いざ受験という現実の厳しさが明らかにされる時期に来て、結局は夢だ希望だと言ってもテストの点数じゃないかということになり、公立の学校より点数をとるテクニックを教えてくれる塾の方が頼りになるということで、中学校の進路指導は信頼を失ってしまいました。このような状況から脱却するため、19年度から教育委員会単位の公的テストを実施し、自分の学力を客観的、相対的に知り受験の資料にすることが出来るようになりました。公的テストの実施については自分が議会で何度も訴えつづけ、この努力が実を結んだと自負しています。公的テストを市町村単位などある程度大きな単位で実施することは「敵を知り己を知らば百戦危うからず」で、子どもたちや教師、保護者にも客観的な学力水準の位置がわかるという意味において意味のあることだと思います。また、高い金額を支払って業者テストを受験しなくてもよくなるという点で義務教育の視点からこれまでの問題点を改善する方向に進むことができたと思っています。しかし、敵の内情まで公開するとなるとこれは違う。それには限度があってよい、と思うのです。情報も知ればいいってもんじゃない。知らせるべきものとそうしなくても良いものがあってよい。そして、便利だけど人間の幸せに寄与しない、ってことが最近多い気がしてならないのです。
 世の中は何でも自分の思い通りになるわけでもないし、理不尽なこともある。わからないこともあるのであります。入試方法をここまで(選抜基準公開のように)公開してしまいすぎると、非常に便利ではありますが、余計な悩みと姑息な誘惑に子どもを追いやってしまう気がしてなりません。そして、この細かな数値、計算方法までの選抜基準公開が「子どもの幸せ」に寄与するものとは、私にはやはり思えないのであります。
 さて今まで書いてきてどうも批判にすぎる気が自分でしてきた。何事も作るのは苦労が伴い、それを外野で批判するのはたやすいことである。今回の制度改革は前期試験の持つ弊害を克服するために行われたもので、そこへ漕ぎ着けた関係者の勇気と決断をまずは称えるべきである。それがまず一番だ。
 その上でまだ平成22年度実施まで日にちがあるわけだから、現場の声を取り入れてもう少し改善して行こうという気持ちで書かないといけないのかもしれない。前期試験の日程はまだ改善の余地があることを申し添えて報告といたします。


 これまでの傍聴記 [18/04/13] [18/04/27] [18/07/13] [18/07/27] [18/09/21] [18/10/26] [18/12/06]
[19/12/05] [19/12/20]

[文頭に戻る]